
この一週間は、動かしていたのは脳と体のほんの一部だったのに、酷使しすぎてだいぶ身体も疲れていたみたいで、先ほど夕食後に気がついたらベッドで寝入っていて、3時間も電源オフ状態だったようです。。そして日が変わる前に目覚めたはいいけれど、もう一度寝ようという気にはならず…これってもしかして、このペースに照準を合わせていけば、来週の今頃始まる日本滞在で時差ボケなく入り込めるのでは…なんて思ったり。いや、とてもそれまでは続きませんけども。
さて、そろそろいい加減完結させたい結婚式ウラ話コラム。というか、出国までにはこの件も含め年の瀬の挨拶、今年度の業務成果報告などすっきり片付けねば…と、頭のto doリストには赤丸がぐりぐり入っているのですが、なかなかゆとりが確保できぬまま帰国に突入してしまいそうな気もします。確保できる、ではなくて、確保する、ですよね…何かをする時間はいつでも自分で作り出すもの。というわけで、まずは今晩、結婚式レポートのハイライト、披露宴の日記を書き終えようと思います。
〈結婚式ウラ話・前回までのインデックス〉
@衣装&ヘアメイクについて こちら
A(時系錯誤ですが)仲間内の二次会を終えて こちら
B両家へのあいさつのこと こちら
C街の役所での人前式について こちら

16時頃にマイストラーッティでの人前式を終えた後は、参列者に車に分乗してもらい、ささやかな披露宴会場へとご案内いたしました。参加者は、私たちをのぞいてたったの10名。いわゆるベストマンも誰にもお願いしていないし、正直当初は本当にマイストラーッティの儀式だけあれば充分、と考えていました。
けれど、式に来てくださる方をせめて自宅かどこかでアフターコーヒーパーティを開いてもてなしたほうが良いだろうと周囲にアドバイスいただき、さすがにせせこましい我が家にあがっていただくのは申し訳ないので、2時間ばかり貸し切れてケータリングの頼める場所を探すことに。
ちなみに通常のフィンランドでの結婚式の披露宴パーティは、日本で言う二次会とワンセットになったようなボリュームで、ほぼ半日、つまり午後に初めて深夜にまで及ぶのも決して珍しくありません。しっかりディナーを食べ、お酒を飲み、プログラム満載で、でも必ずしも式次第通りにも進んでいかないゆるい雰囲気のなかで、和やかな時間がながれます。
場所探しといっても、こういうプチ披露宴をやると思い立った時点で、私たちの頭のなかにはもうここしかない!という候補がちゃんとありました。それは、ユヴァスキュラ港近くの、古びたレンガ造りの旧お屋敷の一角を改装して今年オープンした、Teeleidiという、古今東西お茶専門店。
ビバ・コーヒー文化!なフィンランドでも、ここ数年、お茶文化への関心も目に見えて高まってきていて、東西問わずのお茶文化に精通したエキスパートたちが開く茶葉専門店が、ヘルシンキを始め各街に相次いでオープンしているんです。
Teeleidiホームページはこちら。季節ごとのお店や商品の雰囲気はこちらのfacebookサイトのほうがわかりやすいかしら。
こちらTeeleidiも、幼少期に両親と中国に住んでいた経験があり、以来中国茶や日本茶の奥深さをフィンランドに持ち運び広めたいと勉強を続けてこられたマダム、アンネさんが悲願のオープンを果たした、小さいけれどとっても素敵なお店です。喫茶がメインで、もちろん各種茶葉の販売も行っているし、季節ごとのお店のオリジナルブレンドティーも売りだしてらっしゃいます。さらに、週1ペースで閉店後のお店で開催されている、アンネさんの知識や経験を活かした「ティートレーニング(テイスティング)」イベントが人気で、毎度、いろんなコンセプトやテーマを掲げたテイスティングの夕べになるのだそう。お茶という共通の趣味をきっかけに素敵な出会いがありますようにと、独身限定のテイスティングパーティも定期的にやっていますので、お茶好きフィンランド人との出会いを求める方はぜひここへ!!笑
さてそれで、お店の貸し切りが可能かどうか、(2週間前に)まずはメールで問い合わせてみたところ、アンネさんは「えーーーほんとに?ほんとに?うちのお店では、誕生日会はかつてやったんだけど、結婚パーティを依頼してくれたのはあなたたちが始めてよ!!きゃーどうしましょ!!ともかく、できるだけはやくお店に打ち合わせにいらっしゃい!」と、テンション上ずりっぱなしの電話がすぐに返ってきたので、さっそく二人で訪問。

こちらが、今回最高のおもてなしをしてくださったお店のオーナーのアンネさん。
残念ながら、この日はちょうど夜のテイスティング会と重なっていて、通常の喫茶スペースが使えないとのこと…そこでアンネさんが今回特別に貸してくださったのが、裏扉の先にあるもうひとつのキャビネットスペースでした。総勢12人はどうにか入る小さなスペースだけれど、壁紙などの雰囲気も素敵で、我々のこじんまりパーティにはぴったりのサイズと雰囲気。また、アンネさんはテイスティングの主宰者なので最後までパーティの場にはいられないんだけれど、もうひとりのスタッフ(こちらもアンネさん)の力を借りて全力でおもてなしさせてもらうわ!と、なんだかもう我々以上に気合十分。電話をいただいた次の日に我々は来店したのだけれど、なんともうその時までに彼女の頭のなかでほぼ配置や流れ、メニューの大枠プランができあがっていたという…ほんと、助かりました(笑)

せっかくのお茶専門店なので、今回は、フィンランドでは前代未聞のコーヒーのないパーティ!
我々のイメージや好みにあった2種類のお茶を用意してもらい、カップが空いたお客様のところに随時アンネさんが注ぎに来てくださることになりました。打ち合わせ来店のときに、アンネさんは自慢の東西茶葉コレクションから無料で候補のお茶をたくさん試飲させてくださり、そのなかからやはり日本のおめでたさをこめて桜の葉を混ぜた日本の緑茶と、「甘いひとときを永遠に」という照れる名前のついたブレンドブラックフレーバーティーの2種類を振る舞うことに決めました。このときいただいた日本の茎茶が、渋みすら甘く感じられるくらいまろやかで美味しくて(日本でもこんなにほっとする良味の緑茶を飲んだことはないと感じてしまったのは、こちらの味覚に舌が慣れきってしまったから?)、これもぜひパーティで出したかったのですが、さすがに直球勝負の緑茶はフィンランド人には賛否分かれるかもしれないということで、今回はサクラのブランド力をお借りすることに。

お茶菓子として、メインのケーキは我々のリクエストでチョコケーキを、お知り合いのパティシエの方に特別発注していただき、そのほかにクッキーなどをこまごまと用意してくださいました。お客さんの中にグルテンがだめな人もいたので、ちゃんとその人用のグルテンフリーお茶菓子セットも別途手配してくれていた心遣いもありがたかったです。当日のお茶菓子テーブルは、新郎新婦をイメージしたというブルーとピンクのマリボウルが並んでいて、その可愛らしさに女性陣大興奮!!
また、食器やクロスが白一色で統一されていたなかで、紙ナプキンだけが私のドレスの色に合わせてあったのも、なんともにくい演出。打ち合わせの去り際に「そういえば、どんなドレスを着るの?」とさりげなく尋ねられたのはこのためだったのか!当日テーブルには、私たちのブーケを作ってくださった花屋さんが同じ花で作った卓上フラワーアレンジメントも置かれ、さらにそれとは別にアンネさんが部屋に飾ってくださっていたお花と花瓶がこれまたたまたま同じ色で、よくまあこんな短時間のドタバタの打ち合わせだけで、空間の見た目もサービスもここまで全体がうまくまとめられた会になったものだと、当人の私達がいちばんびっくりし、感激したものでした。今回、実は会場代もアンネさんがこのお店初めての新郎新婦だもの…と、申し訳ないくらいのサービス価格ですべてを用意して下さり、何もかもが心尽くしでただただ有難く、本当にこのお店に頼んで良かったと心から思える人生最高のひととき(のひとつ)でした。


会場では、まず入口で改めて式に参列してくださったみなさん一人ひとりと、ハグと挨拶。お祝いのプレゼントもここでたくさん受け取りました。

キャビネットは本当に小さかったので、全体図すら写真に写せず…でも、こんな雰囲気で、ぎゅうぎゅう、わきあいあいと。写真中央に写っているのは、ミッコの言語指導パートナーで中国語を教えてくれている、台湾人留学生のケンさん。彼は日本の大学にも通い働いていたので、日本語はネイティブ並みで、我々との会話ももちろん日本語(笑)

フィンランドでのケーキカットは、ナイフが落ちきってプレートに触れた瞬間に、新郎新婦で足を踏み鳴らすタイミングを競い、先に俊敏にトンと足を踏み鳴らしたほうが家庭の舵をとる(つまり、亭主関白かかかあ天下か…)という言われのあるプチイベントつき。残念ながら?、このときはミッコ勝利。でも翌日のパーティでふたたびケーキカットの場をいただいたときは私が勝ったので、引き分けってことで二人で持ちつ持たれつイーブンに家庭を支えていきたいと思います(笑)

前日までチェルノブイリの研究チームにいたカティは、ぶじ参加してくれただけでも嬉しいのに、即興で(携帯で歌詞みつつ)得意のアカペラを一曲披露してくれました。

さあそしてフィンランドの結婚式といえば!のダンスタイムなのですが、なんせ部屋が小さくて踊り場はとてもなかったので、アンネさんがなんとお店が入るお屋敷の二階の空き部屋をダンスルームとしてこっそり開けてくれました。
調度品もなんにも無い、文字通りの空き部屋でしたが、ここでスピーカーをつないで、フィンランドの新郎新婦が必ずお披露目する、緊張の結婚ワルツを我々もせっかくだからやると決めて、3日前から自宅で練習を始めたんでしたっけ…。以前参加した結婚式では、二人が見つめ合いながらしっとりとワルツを踊るこの瞬間に涙する参列者が一番多かったのが印象的でした。
もちろん私はそんな舞踏文化のなかで生きてきていませんので、踊れと言われても本来盆踊りくらいしか踊れません。でも、結婚式にかぎらずフィンランドで暮らしているとワルツやタンゴや…といった古き良き社交ダンスの輪に連れ込まれるシーンはこれまでもときどきあり(確か今ちょうど日本でフィンランドタンゴを取り上げた映画が上映されていますよね)、オーケストラでもフィンランド・タンゴをたくさん演奏してきたので、ミッコにもちょくちょくステップを教わっていたのが、満を持して役に立つときが来ました!
とはいえ、大した技巧や見せ場作りのノウハウもないなかダラダラとへっぴり腰で踊りつづけてもとても涙は誘えないので、本番前夜に(いわゆる深夜の不可解なノリ)でどちらともなく思いつき、結局そのまま本番やってのけたのが、こちら、

パランデル家流、柔道ワルツ!
曲の一番は普通に踊って、間奏のあいだにミッコが柔道帯を締め、2番はステップの合間合間でさまざまな柔道の技をモチーフにした見せ場(というかもはやただの技のデモンストレーション集)を作っていくという、イタさを技の本気度でカヴァーした和とフィンの心の華麗なるコラボレーション。
習わしに従って、こうして一曲目は我々だけで踊りきり、二曲目以降は、まずは新郎が自分のお母さんを誘い入れ、つぎつぎに参列者を巻き込んでわきあいあいと。スタンダードな結婚ワルツだけでなく、ちょっと今どきの結婚式ではもう流行らんやろ、というようなイスケルマ(フィンランドの歌謡曲)に合わせたタンゴも取り入れて、我々好みの古風なラインナップで楽しませていただきました。

最後に皆さんで集合写真をとって、フィンランドの結婚パーティにしてはずいぶんあっという間の小さな小さな披露宴、これにてお開き!

ふたたび、入口で一人ひとりにしっかりとお礼を伝えて、すでにすっかり暗くなったなか、ミッコのご両親の車の送迎でお帰りいただきました。

そうそう、これもアンネさんの計らいで、我々からのささやかな引き出物として、パーティで出した桜茶の茶葉をこんなふうに可愛らしくパッケージ化していただき、香りの余韻を自宅で楽しんでいただけるよう皆さんにお配りしました。式やパーティに来られなかった私の両親用までサービスでいただきました。
こうして、最初はとにかく形だけ「入籍」できればよいと思っていたのに、周りにせっかくなんだからとはやし立てられるなかで、にわかに少しだけ形が膨らんで、結果的に短時間でもこれだけ幸せのうずの中心に立たせていただければもう充分、と心から思える素敵な一日を迎えられました。あの夜の充実感と疲労感を思いだすと、「もうあれ以上は無理」だったとも思います(笑)
結婚式という人生の一大イベントのために、日本でもフィンランドでも半年以上前から準備に準備を重ねるカップルも多い(というかそれが普通なのですよね…)ことを思えば、我々がこの日味わった幸せも、所詮かけた労力相応の取るに足らないものだったのかもしれません。けれど、あの時の私たちは確かに人生において後にも先にもない幸福感に包まれていたし、事実あの結婚式以来、それなりに知り合って時間のたつ二人ではあるけれど急にまた関係がスイートで初々しい方向に向かい始めたというか、毎日忙しくてもちゃんとお互いの気持を伝え合ってわかりやすく尊敬しあう日常が続くようになりました。その意味では、よく言われることだけど結婚はまさにゴールではなくスタート、なんだなあとしみじみ思います。
というわけで、あまり人様の参考にはならなさそうな、例外だらけのフィンランド国際結婚レポシリーズでしたが、フィンランドで入籍するまでの実務的なこと、フリースタイルパーテイのアレンジの方法など、もし個人的なご質問や相談があればメールやコメントにていつでもどうぞ!
ayana@jyväskylä.fi
さあ、本日は独立記念日!夜は今年最後のホームパーティ〜