2012年07月29日

ハメーンリンナの穏やかな古城

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昨晩部屋で読み物をしていたら、大家さんが「アヤナ〜オリンピックの開会式せっかくだから見ましょうよ」と声をかけてきてくださり、ほいほいとリビングに行くと、ビール瓶にスナックやらイチゴやらのおつまみ完備の鑑賞会場が特設されておりました(笑)

で、こちら時間10時に始まった中継番組を見始めたはいいのですが、まあ選手ドキュメントばかりが延々流れて肝心の開会式が一向に始まらず、ふたりともお酒が入ってだんだんトロンとしてきちゃって。ようやくあの壮大なショーが始まって、気を持ち直しおおぉといちいち感動の声を上げながら見てはいたのですが、だんだん二人とも見ることに疲弊してきて…やっぱりかわりばんこに、ウトウト。
やっと選手入場が始まってくれたので、とにかくジャパンのJまではなんとか見届けようと二人で誓い、各国の選手のコスチューム批評をしつつ、時刻既に1時すぎにようやくFinlandおよびJapanの選手団勇姿を見送り完了。「お疲れ様」と労いあって無情なほど即お開きとなりました(そして大家さんは今日から一週間バカンスで、早朝にポルトガルへと旅立たれました)。
嗚呼、フィンランドの出順がお国言葉の「Suomi」でなくて心底よかったです…。

閑話休題、ずっと延びていた先週末のハメーンリンナ日記を、ようやくここにて完結させたいと思います。

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ハメーンリンナという地名自体が、実はそもそも「ハメ城」という意味。その名のとおり今も中心街のそばに古城が残る、いわゆる城下町ですね。

フィンランドには、要塞としての役割を果たした有名な古城がいくつかありますが、どこの風景も、今や一様に長閑で穏やか。水辺に敷かれた広大な芝生の上にそびえる、無言のお城の素朴すぎる佇まいからは、日本のお城と同じくかつてそこで血なまぐさい戦や権力闘争が繰り広げられた歴史を、どうやっても想像できないのです。


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見れば見るほど、かつて人の手が作り出した極めて人工的なランドスケープだし、国は違えどここもまた「兵どもが夢の跡」の舞台。なのにこのシンプルな城一帯の風景を見つめていると、世界がまだまだ悲しみで満ちていることや、自分が短命のせわしない人間であることさえを忘れて、ただ恒久の平和や安らぎを信じたくなる不思議な気持ちに包まれる。


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お堀もあるけれど、これくらい馬でぴょんと飛び越えれそう。ほんとに守る気あったのか?と思ってしまう(笑)


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あぁいいなあ、こういう全てをさらけ出した潔い壁。まるで地層のように、壁をより高く強くせねばならなかった、あるいは改修を余儀なくされたそのときそのときの、時間的ゆとりや手元にあった素材と技術が、ありありと見て取れるのです。


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決して華美な雰囲気はなくもはや洞窟探検のようでさえありますが、お城のなかの見学もぜひどうぞ。


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ハメ城の敷地内には、メインの本城以外にもいくつか見学可能な歴史博物館があり、砲兵博物館などいずれもテーマがやや重くていかにも見応えがありそうなのですが、この日はあまり時間もなかったので、個人的に一番気になっていた「刑務所博物館」に入ってみました。お城の本丸だったとされる一角は、いつしかそのまま監獄と化し、1970年ごろまで使われていたのだそうです。

こ、この独房が並ぶ光景…まさに囚人大好きカウリスマキ映画の世界そのもの。むしろここがロケ地だったこともあったのではと思わされる既視感…まあ、刑務所ってどこも大差ない雰囲気か?

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ほら、このマリメッコがデザインしててもおかしくなさそうなオシャレ囚人服も、映画のなかで記憶に残っている色デザインそのもの。

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そして初めて自分の目で見てスケール感を実感したいわゆる「独房」は、日本の貧乏一人暮らしと大差ない十分な床面積と設備に恵まれている気がしました。外から届いた絵葉書が壁に何枚も飾られていて、なんだか温かな雰囲気さえ感じます。

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それから、刑務所だろうとどこだろうと、やっぱりサウナの享受権は不可欠らしい(笑)日本の刑務所でも、シャワーだけじゃなくいわゆる湯船につかれる日なんかが決められているのだろうか。

他にも、刑務所には託児ルームもあって、小さい子供のいる受刑者は最大2年間(だったかしら)子どもと一緒に入所可能という、果たして子供にとってそれが良いのか悪いのか判断しがたい選択肢も用意されている…などなど、未知なる世界の潜入ドキュメント番組を見ているかのような新鮮な展示と情報が満載です。

なんせ日帰り旅道中の数時間滞在だったので、立ち寄ることができたのはせいぜいこんなところ。あとは故郷ユヴァスキュラを想いながら湖畔をぶらついて水景を写真に収め、夕刻にはヘルシンキに帰還しました。イーッタラ&ハメーンリンナの組み合わせは、ヘルシンキからの思いつき日帰りには程よい距離とエキゾチシズムがあり、なかなかよいチョイスだったかと思います。

ayana@hämeenlinna.fi


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明日はヘルシンキ市内某所をぶらぶらする予定


posted by こばやし あやな at 05:41| Comment(0) | Hämeenlinna_ハメーンリンナ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年07月25日

シベリウスの生まれた街ハメーンリンナ

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一日あいてしまいましたが、改めまして、週末のイーッタラ&ハメーンリンナ訪問記を続けます!

イーッタラから在来線で引き返すかたちでやってきたハメーンリンナの駅(余談ですが、その間15分ほどで運賃が学生料金だとたった1.55ユーロという、今日の暴落レートにかければ阪急電車の初乗り未満の価格だったのに驚きました…)。

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ちなみに今年、フィンランドの国鉄VRはフィン最初の鉄道開通150週年記念ということで静かに話題を呼んでいますが、150年前に最初に開通した路線というのが、このヘルシンキ〜ハメーンリンナ間。周辺の先進ヨーロッパ諸国ではすでに地下鉄も走っていたというご時世にようやくの鉄道第一号というあたり、フィンランドという大器晩成国がゆるゆるとくすぶっていた時代の歴史を感じさせますよね…。


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街の真ん中には大きな湖がたゆたっており、対岸方面への行き来は若干不便ですが、ううんやっぱり潤いに満ちた湖畔の街の趣が好き。ユヴァスキュラがふと恋しくなる水景です。


日本からの観光者でも比較的立ち寄っていく人の多いハメーンリンナの街に、意外にもこれまで足を踏み入れたことのなかった私(だいたい普段は無名の小さな街や村ばかり優先的に訪れるもので…)。いつもヘルシンキ〜タンペレ間の高速列車の車窓から、ハメーンリンナ駅通過の際に、名物ハメ城の佇む景色に一瞬カメラをかまえるばかりでした。

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今回ようやくこの街に立ち寄ろうという決め手になったのは、これだけシベリウスと縁深い人生を過ごしておきながら、まだ一度もこの街に残る彼の生家を訪れたことがなかった償いと、たまたまその生家博物館で、夏の間は毎週日曜日にマチネサロンコンサートをやっているという噂を耳にしたことから。

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決して名の上がる演奏家たちが集っているわけではなさそうですが、せっかくゆかりの地で彼の作品が耳にできる贅沢を味わえるなら、ということで、イーッタラからの移動後マーケット広場の出店で軽く昼食をとり、開演時間にあわせて参上。生家は噂通り、車もとく通るにぎやかな街の一角に、ややしょうがなく、といった風にぎこちなく保存されていました。

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決して大々的に宣伝されているコンサートでもなかったので、お客さんはわずか20人ほど。まあ、あくまで元民家のリビングでのサロンコンサートですし、それ以上ははいるスペースもないのでちょうどよかったのでしょうか。入場料も、博物館の入館料のみでOKでした。

そうそう、コンサートに一組日本人のご夫妻が聴きにいらしていて、私は待ち時間などずっととなりの席のよく喋る地元のおばちゃんと話し込んでいたのでその方々とそこでお話するチャンスはなかったのですが、なんとこのご夫妻が、今日私が担当したガイドツアーのお客様だったのですよ!本日の集合場所ではちあわせて、あれーっとびっくり!おもしろい偶然もあるものです。

この日の演奏はピアノソロ曲とヴァイオリンとのデュオ曲を数曲ずつで、30分あまりのコンサートでした。ピアノソロは、即興曲のなかでもおそらく一番人気のあるロ短調や、これまた人気の樹木組曲からKuusi(樅の木…とよく日本語では訳されるけど、厳密にはkuusiは樅ではなく、たぶんトウヒが近いかと)、などなど。ヴァイオリンとのデュオでは、なにかの音源で一度は聞いたことあるけれど…という程度の記憶に残る5つの小品作品から抜粋されていたよう。

ピアノはまあとにかく甘くロマンティックで、ちょっとシベリウスとしては意外性があったけど、嫌味はなく、新鮮な気持ちで聞かせていただきました。ヴァイオリンは、んーピアノと重ねている割にはちょっと音程が不安定で頼りない気もしましたが、曲自体が馴染みなかった分、へえこんなユニークな曲もあったんだ〜という部分に感度を傾けることで充足感を得ました(笑)

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終演後はざっと館内の展示や往時のインテリアなどを見て回ったのですが(兄妹で器楽三重奏をしていたエピソードなどがありありと目に浮かぶ、なんとも温かく家庭的な雰囲気に満ちたお家でした。もちろん実際ははやくに父が他界し、まもなく女手ひとつの苦労生活を強いられるようになるわけですが…)、目がとまったのは、こちらの暖炉の鮮やかな緑色のタイル。これって…のちにシベリウスが家族とともに生涯をすごす自邸「アイノラ」のリビングにある暖炉のタイルの色とインパクトにかなり似ていますよね(ややマニアックな話ですみません)。

アイノラの暖炉のやはり印象的な緑色のタイルは、確か奥さんのアイノさんがお気に召してオランダから取り寄せた…というエピソードがあった気がするのですが、アイノさんとは無関係なこちらの自邸にも、似たようなディテールがあったなんて。実際アイノさんは夫の実家を訪問して一目置いていたのかも知れません(笑)


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生家から少し離れた街の一角には「シベリウス公園」と名付けられた小さな緑地もあり、睨みを効かせたシベリウスの全身像が立っております。表情はリアルですが、胸部から下は抽象化というかラフ過ぎるというか…な簡略化ぶりでした(笑)

ayana@hämeenlinna.fi


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さてさて、明日はハメーンリンナの街の代名詞、ハメ城入城記録を綴ります。
posted by こばやし あやな at 04:58| Comment(0) | Hämeenlinna_ハメーンリンナ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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