2013年02月17日

タイムトラベル・ワークショップ

20130216_1.jpg

昨日そして今日と、終日うちの研究室が共催するセミナー&ワークショップに参加してきました。我が芸術教育学ゼミには、日本でいうところの美学研究に加えて、いわゆる子供・若者のための芸術・文化教育や支援に関する研究で名を挙げている先生がいらっしゃいます。なので、もともと美学出身の私自身も自分の関心や専門からはやや離れるものの、日本ではまったく携わったことのなかった子供のアート教育について、講義を受講したり、セミナーに顔を出したりして考えを深める機会が、こちらの大学院に来てから増えてきました。

この二日間かけて開催されていたのは、その先生が理事のひとりとして立ち上げから関わっているtaikalamppu(魔法のランプ)という、おもに子どもや若者を対象にしたアート・文化事業による教育支援団体が主催するワークショップつきセミナーでした。我々学生のほかに、ユヴァスキュラ内外でアート教育や一般の学校教育に関わる先生方、テーマに関心のある一般の方たちも多数参加しており、芸術文化振興への関心が高いユヴァスキュラ市も大きくバックアップしての、なかなか大規模なイベントでした。

セミナーの中で議論されていた内容やフィンランドの児童アート教育事情についても詳しくお話したいのはやまやまなのですが、今日は(というかここの所しばらく)他にも仕事レポートたんまりで忙殺されているので、私が参加した午後のワークショップについてのみ軽く。
両日とも午後は、その道のプロを招きいくつかのテーマに分かれての、実践的なアート教育法ワークショップが開催されていました。テーマはどれもこれも興味をそそられるものばかりで、例えばショートムービー制作、家族サーカス、アート療法、ミュージアム探検、ダンスなどなど…
その中で私が参加したのは、aikamatka=タイムトラベル、という名のコースでした。

タイムトラベルコースの講師を務めてらっしゃったのは、ポフヤンマー地方の街を拠点に、その名のとおり子供たちに「タイムトラベル」体験の場とメソッドを提供し続けているアンニーナさん。元歴史教師の知識や経験を活かしつつ、フィンランドの過去のさまざまな時代へとタイムスリップできるような設定やシナリオ、衣装や道具などを徹底的に準備し、参加する児童が身を持ってその当時の入手可能な物質、文化、社会背景、価値観を擬似体験することで、ある時は歴史、ある時は自国文化や工芸技術、ある時は数学や地学、生物学までを楽しく学べる環境づくりを推し進めていらっしゃる、ユニークなプロコンサルタントさんです。

ワークショップのはじめには、アンニーナさんがこれまで手がけた様々なテーマでのタイムトラベル企画概要やメソッドを教授してもらいました。赤軍対白軍の内戦が激化していた1918年の国内戦線下での庶民の生活の疑似体験、1800年代に勃興した伝統工芸の工房体験などなど、時代もテーマも多種多様です。ただ、いずれも設定がとても具体的かつ徹底的。すべてのタイムトラベルを始める前には、「さあ、今から3つ数えて指をぱちんと鳴らしたら、ここはもう◯◯年の世界です。携帯電話やゲームのことは口にしてはいけないし、考えることもできません…この時代を生きる一人になりきって、会話や振る舞いをするのです」と、前置きをしてからスタートします。

タイムトラベル教育の裏側や効果、問題点をいろいろと話し合った後は、いよいよ自分たちで、ひとつのタイムトラベルシナリオを作り、自作自演してみようというのがワークショップの本題(私はてっきり子供たちを呼んでくるもんだと思っていましたが、今回はあくまで大人たち自身の自作自演であった)。参加メンバーは、さすがに外国人は私一人として、年齢性別はじつに幅広くさまざま。そんななかで与えられた「課題年」はズバリ1967年。というのも、ユヴァスキュラ市美術館の一角には、1967年当時のとある普通家庭の自宅内観をそのまま再現した展示室があるので、そこをそっくりそのまま舞台にして、という話(笑)

1967年となると、参加者の中には、自ら経験した人もいればうかがい知る知識しかない世代もいて、それどころか「ハ?フィンランドの1960年代って何が起こって何があってどうなってたの??」とまったく無知でアウェーな日本人もいて(汗)、細かいテーマぎめや内容監修を率先してやってくれたのは、必然的に1967年経験者の世代のみなさん。あ、ちなみにイントロ写真はその67年ごろの家庭のサンプルであります。壁紙も可愛いし、今でも十分楽しく暮らせそうではないか…


さて、その年代のフィンランドというのは…なんといっても印象深かったのは、一気に女性の地位が解放されたことだと誰もが口をそろえて強調していたこと。それまではフィンランドでも「女は黙って家を守る」という考え方が当然でしたが、女性の社会進出が一般化し、女性同士でもレストランやパブに堂々と入れる、女性でも独身生活をエンジョイできる、といった価値観の大転換が起こったといいます。ファッションや髪型、メイクは一気に華々しさにあふれ、布プリント技術が確立したのもこのころなので、マリメッコなどセンセーショナルなテキスタイルデザインもどっと世を風靡していったようです(ちなみにその後やってくる70年台のトレンドやカラーセンスは、みんな全力で否定的だったのが意外でおかしかったです。口々に「今思い返してもあれはナイわ〜」とww)。
一方で社会的には、ベトナム戦争の影響が常に影を落としていて、子供たちは家に導入されたてのTVで生々しい映像を見ることで恐怖症に陥り、国内での暴動も免れず…といった闇と隣合わせの暮らしだったそう。TVやオーディオの普及で、一気に世界の情報や現状と自分たちの生活とがコネクトされ始めたことによる、良し悪し両極端の影響に支配されつつあったイメージが強いようですね。

…へええ…もうここまででも、十分私自身も勉強になりましたよ。


さて、そうした時代考証を踏まえて、私達が最終的に設定を自作し、自演に取り組んだのが、メンバー全員にこの当時の家族および取り巻く人々の役割を割り振っての「なりきり即興寸劇」。1960年代後半といえば、フィンランドから主にアメリカへと留学で渡航する人たちが一気に増えた時代でもあるようで、まもなくアメリカ留学に出発するアンナを軸に、その家族、友達や彼氏、支援者である政府のお偉いさんなどを家に招いてお別れパーティを開く…という設定で、あとはそれぞれの発言、振る舞い、人物相関は、あくまで時代に基づきつつ完全に各々の即興で、という大人向きの?疑似体験です。

20130216_2.jpg

衣装も、当時のトレンド服がたくさん用意してあって、皆それぞれの役柄にあった服を選んで着用。
劇自体は…もう正直、フィンランド人たちの「なりきり力」というのか「即興力」というのか…に感服いたしました。多分そういう部分を重視する教育課程をくぐって今にいたる民族だからこそというのも大きいのでしょうが、それにしても、3つ数えて指をぱちんとしてからの皆の入り込みぶりはハンパなかった。誰も照れたりついうっかり素の自分に戻る…という隙が一切ないのです。ちゃんと時代考証に基づいて、かつ自分の世代や役割をきっちり認識した振る舞いに徹していて。私もまあそりゃ言葉のハンデも背負いつつ精一杯はやりましたが、彼らの徹底的な演じっぷりにすっかり度肝を抜かれて、内心自分のヘボい演技どころではありませんでした。。。

こんな国民なので、タイムトラベル教育法はさぞこの国でウケもよいのではと察します。

ああもう、まともな結論導けずしてまぶたが落ちてきたので、あとは膨大なレポート課題でしっかり考察します(涙)今日のところはおやすみなさい!

ayana@jyväskylä.fi


にほんブログ村 海外生活ブログ フィンランド情報へ


明日は久々にゆっくり寝れる…ハートたち(複数ハート)



posted by こばやし あやな at 06:21| Comment(0) | Suomi×教育 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月25日

ついったー

20120125_2.jpg

例のiPadをぽーんとくれた授業2回目。
さて実際のところどう授業に活用できるものかと思っていましたが、少なくともまずパソコンのない部屋でも(学校中に走る学生用LANを利用して)おのおの手元にかさばらないネット環境や情報共有/更新ツールがあるというのは、なかなか便利なものです。課題などもすべてサイト経由の文章入力→提出→相互閲覧でおこなうので、どこにいても空き時間にちゃちゃっと宿題や読み物を進められたり、活字でメモできるのは大変ありがたいですし。ちなみに今日このあとは、iPadのヴィデオ録画機能でフィン人何人かへのインタビューを撮影してこなければいけません。。

このプロジェクトで良好な結果が出れば、のちに大学入学したら、国や大学から一人一台iPad支給…なんて時代が来るのだろうか。

昨日はさらに、情報や会話、リンク共有のツールとしてクラス生徒全員がツイッターの開設を試みました。
日本では以前から比較的普及率の高いツイッター、海外では(少なくともフィンランドでは)、日本ほど利用率が高くない印象を受けます。クラス内でも、もともとアカウントを持っているのは私を含めて3人だけでした。私も(日頃からそんなに活用してるわけじゃないけど)公私分けるために新しいアカウントを開こうかとも思いましたが、それこそログが面倒くさいので、結局従来のアカウントをみんなに公開することに。

で、やり始めて気づいたのですが、クラス内では共有ハッシュタグを持っているだけなので、フィン語でクラス宛に書いたツイートは、すべて日本のフォロワーの皆さんのところにもツイートされてしまうのですね…さらには、現在のところ、ブログのRSSを流すためにツイッターのつぶやきはミクシィとも連動させているので、ミクシィのほうにまで、フィン語知らない人には新手のスパムメールにしか見えないであろうアルファベットの羅列が転送されてしまっているようなのです…

無関係な皆さんには不愉快なツイートだと思うのでなんとか対処したいのですが、少なくともツイッターのアカウントは今更増設できないので、しばらくはこの現象が続くことになるかもしれません…お見苦しいとは思いますが、フォロワーさん、マイミクさん、どうぞご容赦くださいませ。


それにしても、すっかり日本語コミュニティの場と認識していたツイッターで、いまさら外国人の友達ばかりか大学の先生にもあれこれを覗かれてしまうというのはやっぱり気恥ずかしい…いくら日本語が彼らにとって暗号だとはいえ。前々から日本語文字のかたちが大好きで私の日本語メモを見るたび絶賛していた担任のヘイディ先生は、さっき私のツイートを眺めてたらしく「嗚呼、なんて日本語は美しいの!!」と感嘆ツイートを流しておりました(笑)


20120125_1.jpg

昨日は結局薄雲がかかっていてオーロラは見えなかったものの、「ライトピラー」と呼ばれる、これはこれで珍しい現象が起きていました。急冷して発生したダイヤモンドダストが、街頭と雲の間で反射を繰り返し、まるで光の柱が天に伸びているように見えるという現象です。写真の街灯に照らされた飛蚊みたいなのが、昨晩大気中に舞い上がっていた無数のダイヤモンドダスト、その後ろのレーザー光線みたいなのが、街灯を光源としたライトピラーです。昨日は、あらゆる街灯や街あかりから、このような光の柱が空にむかって幾筋も伸びていて、なかなか幻想的でしたよ。

ayana@jyväskylä.fi


にほんブログ村 海外生活ブログ フィンランド情報へ


いつもワンクリックをありがとうございます目

posted by こばやし あやな at 23:17| Comment(0) | Suomi×教育 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月18日

時代の最先端をゆく語学クラス

20120119_1.jpg

突然ですが、本日…

iPadを入手しました。



半年契約で、ではあるのですが…

実はこれ、今日から開講されたフィンランド語のリーディング専科のクラスを運良く受講できることになった生徒12名に、なんと無償で手渡されたのです!!

一応授業で使う名目ではあるのですが、今学期いっぱい、プライベートでも自由に使ってくれたらいいよ、とのこと…。私は当分「指でクイクイ操作する系」の文明の利器にお世話になることはないだろうと思い込んでいたので、まさかこんな突然、今をときめく万能鉄板(笑)がほいっと手元にやってくるなんて…正直、戸惑っているくらいです。さすが、進取性に満ちた(新しいモノ好きの?)フィンランド教育界は羽振りもよい!


20120119_2.jpg

この授業自体、大学のいわゆる先端プログラムの一貫であるらしく、語学の(しかも読解専門の)授業でありながら、ブログやtwitterなどを積極活用し、今後は言語部が開発したとっておきの最新学習プログラムに従って勉強を進めてゆくことになるそうです。用意されたプログラムサイトのトップページからして、シャレオツでしょ!!
通常の履修登録はすべてネット上からおこない管理されるのですが、この授業に限っては初回に参加した人のなかから人選され、毎回の授業で写真やビデオ撮影を行うことや視察の受け入れを許諾するサインと、iPadの保証誓約書(紛失故障は実費で負担します、という恐怖の誓約…!しかも不穏にもなにやら日本の実家の住所まで書かされた…)をもって履修申請、という、しょっぱなから少し特殊な方式が取られました。ちなみに、受講資格の基準スコア(前学期までの成績)ぎりぎりだったのですが、担当の先生が昨年週4でお世話になってた顔なじみの先生だったということもあり?無事に自分も受講させてもらえました…ほっ。


20120115_22.jpg

語学教育に絶対の自信をもつこの大学の言語学部による、満を持しての最新&最先端プログラム…果たしてこれからどんな新鮮な教育を受けることができるのか、また随時レポートしてみたいと思います!とりあえず、まだトップページの開き方すらよくわからないiPadは、週末にいっぱいいじってみよう♪

ayana@jyväskylä.fi


にほんブログ村 海外生活ブログ フィンランド情報へ


いつもワンクリック激励をありがとうございます!


posted by こばやし あやな at 07:41| Comment(0) | Suomi×教育 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月29日

小学校の英語授業を視察

20110928_15.jpg

今日のお昼、自分の授業の合間を縫って、小学校の授業参観をさせてもらってきました。
ユヴァスキュラ大学のキャンパスの中には、実際に地元の生徒たちが通う小・中・高校がそれぞれ内包されていて、これらはNorssi(ノルッシ)と呼ばれる、いわゆる国立の教育実習用のモデル校に指定されています。


20110928_10.jpg

大学の各研究棟との間には境界の柵や塀ひとつなく、運動場さえもボーダレスなので、いつも私たちの生活圏にまで子供たちがはしゃぎながらはみ出してくるというちょっと不思議な光景の見られるキャンパスなんですよ(笑)そしてここでは普段から、教育学部の生徒たちが頻繁に教育実習に赴くほか、その他の様々な学部の諸研究のためにも相互に力を貸すなど、大学という機関と子供たちの学び舎が密接に結びついています(ただし、日本の大学付属の学校のようにエスカレータ式、というシステムはない)。教育費はもちろん一切かかりませんが、設備や指導カリキュラムはさすがに一般の小学校と比べても飛び抜けて充実しており、通学区以外の家庭からもわざわざ通わせる親がいるのだとか。


20110928_11.jpg

今回その授業を視察させてもらえることになったのは、かつてご自身もここで教育実習をされたというパウリーナ先生から、一人の素晴らしい英語教師をご紹介していただいたのがきっかけ。マリ先生という大ベテランの英語・フランス語の先生で、とにかく彼女の授業や指導法は魔法のように素晴らしい!とパウリーナ先生が絶賛されていたのです。私は教育学専攻ではありませんが、この国でマルチジャーナリストを目指す以上、教育というテーマは避けて通れない関心ごとなので、ありがたくも先方から授業見学のお話をいただき、二つ返事をさせていただきました。


20110928_13.jpg

学校の校風や、授業や生徒の様子、そして噂通りのマリ先生の教育一筋!な指導力など、いろいろ書き留めてご紹介したいとは思うものの、いまはまだ私の視察&考察不足な段階で、さらに今後何度か足を運ばせていただくことになりそうなので、また追って、少しずつお話してゆきたいと思います。逆にもし、日本でも一世を風靡した?フィンランドの初等教育の「リアルな現状」についてこんなことが知りたい、どうなっているのかリサーチしてほしいということがあれば、気軽にコメントに残してくださいね。

ayana@jyväskylä.fi


にほんブログ村 海外生活ブログ フィンランド情報へ


…という、プロローグ的な日記で今日のところはお許しを!
posted by こばやし あやな at 05:37| Comment(2) | Suomi×教育 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。