2011年07月19日

ここはフィン?それともスウェーデン?

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ケミ発のバスに乗って、トルニオという、スウェーデンと国境を接するボスニア湾最北端の街に繰り出しました。ここでは、観たいと思っていた教会以外は特に目的はなかったので、さしてそれ以上に事前の下調べもすることなく、まあフィンの西端で何か面白いものが見つかればいいな、くらいに構えて向かったのですが…

音楽祭の疲れもあってバスのなかでうつらうつらしてしまい、次にはっと目覚めたのは、バスが終着地点で大きくブレーキを引いたとき。おっとっと、もうトルニオに着いちゃったかと慌ててバスを降りたものの…


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ん?なんだろう、この街並みへの違和感・・・


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街の標識、聞こえてくる言葉…どれもこれも、ひょっとしてここはスウェーデン??


トルニオって、地理的に言語もスウェ語優勢なのかな?とちょっと不安を覚えながら近辺をぶらぶらしていると、ここが異国であることをはっきりしめす、「フィンランドになくてスウェーデンにあるもの」を発見しました。

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そう、セブンイレブンって、スウェーデン以西の北欧諸国にはちゃっかり進出しているのです(もちろんおでんや冷やし中華は買えませんが)。
さらに店内の時計を確認してみると、案の定、私の腕時計より一時間遅れて動いているではないか…

うーむ、よくわからんが、ここはやっぱりスウェーデンらしい。ひょっとして、私はトルニオが終着だと思いこんでいたバスで、実はスウェーデンまでやって来てしまったのか?あれ、でもパスポートコントロールは特になかったけども??


再びバス停に引き返してきて案内板とそばの地図を見て、ついでに近くにいたおじさんに英語で確認して、ようやく謎が解けました。

私がケミから乗ったバスは、やはりトルニオのすぐ隣町、スウェーデンのハパランダという街のバスセンターに終着する便だったようです。この二つの街は、あとで調べたところ、非常にユニークな関係性を保っているいわゆる双子都市らしく、経済や観光市場においても、もはや互いをドッキングしたTornio-Haparanda、またはHaparanda-Tornioという名を全面に出して、さまざまな公共施設をも共有し、まさに文字通り「国境を超えた街づくり」に取り組み続けているとのこと。なので、もちろん国境を越えて人や車が行き交うのも自由。


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たとえば地図上では、この写真において私の立つ場所はフィンランド、その先の景色はスウェーデン、となるはずなのですが、この地点ではとりたててボーダーを示す標識一つさえ見当たりませんでした。


とはいえ、スウェーデンとフィンランドでは、通貨も、時計が指す時間も、言葉も違う。レールの規格が違うから、列車も乗り入れられないそう。年末のカウントダウンとか、ここでは1時間ごとに2度続けて盛り上がることになるんだろうか。


さてともあれ、今私が居る場所はれっきとしたスウェーデンなわけで、ここで話されるべき言葉はスウェーデン語、払うべき通貨はスウェーデン・クローナです。…いくら日々フィンでも目にしてるからといって当然スウェ語なんて喋れないし、そんな通貨今もってるわけがない!!

お昼を食べていなかったので、ともかくまずは腹ごしらえ、とふらりと入ったカードの使えそうなカフェでも、さっそくメニューが何一つ読めずに面食らう。その上、クローナの価値(つまりものの相場)がさっぱりわからない…昔スウェーデンは旅行したことがあったけど、はて、100クローナが何ユーロくらいなんやっけ??ああもう、国境なき街づくりを目指してるなら、ユーロ表示やフィン語メニューのひとつでもないのか〜!?


こんなときの強い味方は、もうここしかない!バス停からも当然見えていた巨大な青い倉庫…

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IKEA!!

ああ、そういえばロヴァニエミに住んでた友達が、フィンとスウェーデンの国境あたりにようやく世界最北端のイケアができて、私たちも買い物が楽しめるようになった…と喜んでいたっけ。きっとここのことなんでしょうな。


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一応スウェーデンの上にあるので、通貨はクローナ表示なのですが、売っているものは日本やフィンと変わらないのでおおまかな物価がわかるし、表示はサブでフィン語表示もあったので困ることはありませんでした。入口にあがる旗やゲートの「ようこそ」表示は、スウェーデン、フィンランドだけでなく、ノルウェー、ロシア、そしてサーメ民族用がずらり。確かに地理上、そのどこからでも来れなくない場所やもんな。北欧諸国というのは、ちょうど北部でキーチェーンに束ねられたように、おのおのの国境が密集しているのです。

インテリアディスプレイに見向きもせず、店内の食堂にまっしぐらに向かって頼んだお馴染みメニューはもちろん…


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ミートボール

なんと、期間限定の19クローナ(=250円くらい)特価で売り出していたので、食堂は大混雑でした!うむ、ラッキー!!

日本にはじめてイケアが上陸したとき、日本人の多くが、「なぜにミートボールがメインディッシュに!?」と驚いたことでしょう…スウェーデンやフィンランドでは、このミートボールこそが、毎年「母の味ランキング」堂々第一位を獲得するほどの定番メニューなのですよ。お味噌汁や肉じゃがみたいに、そんなに作り手によって差異が出るのかどうかは、なんともわかりませんが。


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日本のイケアにも、こんな駐犬場なんてあったかしら?


さらにこのイケアの横には、イーッタラをはじめ、ヨーロッパ最大と謳うキャンディショップなどのアウトレットもずらり。まさに本場・スウェーデンの食器ブランド「ロールストランド」の、いつも素敵だなあと思いつつ高くて手の出せなかったSwedish Graceシリーズの食器が、値段換算を間違えているのではとひやひやするくらい安く売られていたので、コーヒーカップ&ソーサーを2組衝動買いしてしまいました。店内ではフィンランド語の会話も結構聞こえてきてたし、所持品からノルウェー人とわかる人もいました。やはりここは、国籍関係なく、物資の乏しい北極圏近郊に住むあらゆる人たちの購買欲を満たすホットスポットなのでしょうね。


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ついでにお隣の一般スーパーにも立ち寄ってみました。

ざっと見回す感じでは、自国ブランドが思ったより(少なくともフィンより)少ないのかなあと。ユーロ圏やワールド展開しているメーカーの商品ばかりが目立つ。フィンランドよりも断然豊富さを感じたのが、写真の陳列棚に並ぶ肉魚用ソースの素。これからひとつと(スウェ語わかんないから味は食べてみないとわからない〜笑)、この国でよく食べると聞いたことのあるブロッコリースープの素をお土産に購入。味はまたレポートします。


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そのあと、場所を調べてようやく目的としていたトルニオ教会に到着しました。
(この教会は、1600年代に建てられた木造教会で、ゴシック調の尖塔が目を引く外観とは対照的に、内部はルーテル教会とは思えないほどどこもかしこも細やかなロココ調の装飾と彩色に満ちていて、驚くほど華やかなのです。残念ながら内部は撮影禁止だったのでお見せできませんが、じっくり肉眼で堪能させてもらいました。ちなみにこの尖塔には、スウェーデンにおいて絶対王政時代を築いた国王カール11世が、白夜の景色を眺めるために築かせたという「王の窓」と呼ばれる小部屋の窓が残っています。ただ残念ながら、窓の完成の前に王は病死してしまたそうです。)

この界隈はもうすっかり通りの名前も見かけるスーパーの名前もフィンランドで、あれ、いつのまに?というくらい、自然にフィンランドの何気ない街並みに切り替わっていました。街をうろうろしていると、知らぬまに両者のボーダーを行き来してしまうようです。


われわれ、島国に住まう民族にとっては、どうもこの「別の国と接する生活」というのが、信じがたいというか、何が起こり得て、どう住み分けをはかっているのかなど想像がつかないもので、頭が混乱気味になるのを免れません…。でも、きっと当の住民たちからすれば、私が困惑するほど大したことだとは思わず、「ちょっとスウェーデンに飼い物いってくるわ」「今日は天気がいいからフィンランドの森にでも行こうかしら」なんて気軽さで、日々互いの国の恩恵を享受しあっているのでしょうか。

特にトルニオは、歴史戦争のたびにスウェーデン以西の欧州国との要塞都市として激しい戦渦に巻き込まれ、そのたび街の子供たちの多くは、スウェーデンに避難させてもらっていたそうです。
そういえば、以前にキルピスヤルビという、ここよりまだ北の、フィンランド・スウェーデン・ノルウェー三国の国境が交わる「国境点」を訪れたときには、たった10秒で、すべて異なる言語と通貨と時差をもつ3国をぐるりと渡り歩いてみたけれど、周囲の風景のどこにも区切りや差異なんて見あたらないことに、同行していたスウェーデン人さんがいたく感極まって涙を流してらっしゃいました。

国境なんて、所詮人間が勝手に引いた、架空の境界線。そのボーダーのあるなしにこだわって、自分と違う文化や言語をもつ民族といがみ合うしかできないことが、どんなに浅ましく無益であるかを、このような「辺境」の淡々とした日常を覗くことで、しみじみと実感がわくというものです。

ayana@tornio-haparanda.fi&se


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さあ、このあとは旅の出発&最終地点を目指します。


posted by こばやし あやな at 09:27| Comment(2) | Tornio-トルニオ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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