
先週は遠方取材続きで、まさに文字通り東奔西走。週末は、たまたまビジネス利害の一致したミッコとともにメオト出張というわけで自家用車で一路西を目指し、テウヴァという西海岸までもそう遠くない街で行われていた移動式サウナ・フェスティバルの観賞をメイン目的に、一泊二日で南ポホヤンマー県の小さな街まちや要所を訪ね回ってきました。
サウナフェスの様子はまた追々連載記事でレポートするのでここでは触れませんが…この旅は、サイドディッシュ部分で思いがけなず良き人や物や風景との縁が多く、思い出深いエピソードいっぱいの旅らしい旅だったのですが、その中でも、一番の出会いとは決して言いたくはないが遭遇した時の衝撃はなかなかのものであった、とあるモノとの出会いを回想し、考察します。

それはサウナフェス前夜に、全国から集まったサウナ改造車がテウヴァの中心街から、意外と離れたキャンプサイトにある明日のメイン会場まで、列をなし下からも上からも煙をもくもく焚いてパレードを繰り広げる…というワンシーンを、まあせっかくだしと思い、街の偵察がてら前乗りして冷やかしに行った時のこと。やはりこの小さな街にとって、いまや全国的にもそれなりに知名度のあるこのイベントの開催は一大事。サウナに直接関係なさそうではあるけれど、そこここで街をあげての縁日ムードでした。市庁舎の近くには子どもたちの大好きな巨大遊具も設置され、トランポリンや道化師のパフォーマンスにちびっこたちはみんな大興奮!
…の微笑ましくいのびのび空間の中に、あまりに似つかわしくなさすぎて一瞬背筋が凍ってしまった代物を発見…

ちょ、ちょ、いくら時計の指す時間はもう「夜」にカテゴライズされるとはいえ、ここは「白夜」の国ですよ!まだ太陽は煌々と街を照らし、けがれない子どもたちが燥ぎ騒ぐ、そのフレームのなかに、こんなにも堂々とこの言葉が主張し共存しているって、狂気の沙汰じゃなければなんなのでしょう…??
私がしばらく呆然と対峙していたら、「お〜懐かしい〜〜これを見ると、街のお祭りって感じがしてテンションあがるわ〜」と、その狂気の沙汰にノスタルジックな気分に浸り始める我が夫…。てことは、コレ、全国のこういう町内祭りの類のイベントには必ず登場する「アトラクション」のひとつなのでしょうか…?

ひと目をはばかりつつ、断面を覗き込みます。どうやら1ユーロ投入後に、イラストに自分の手のひらを重ねあわせて、2本指をメタリックなボタンの上にかざすと、ボタンが振れて一点に止まり、なんというかその…綺麗に言えば今の性的魅力というのか、まあムラムラ度合いが判定される、というただそれだけのマシーン。あえて和訳はつけませんが、以下に読み取れる判定結果をいくつかしれっと原文ママで抜き出すと…
"Koettele käsilläsi onko kaikki tarvittava edes tallella."
"Muutos on käsinkosketeltava. Kokeile vaikka."
"Odota. Tämä voi olla sopimaton paikka."
"Kaikki on kohdallaan. Etsi kohde ja anna palaa"
隠語的な単語の使われ方もあり、(どうせ周囲にわからんのを良いことにお天道さまの下堂々と日本語で説明してくれた)ミッコの解説なしでは「ははぁんそういう意味っすか」とにんまりできない部分もありましたが…(って、にんまりしてどうする私!!)正直相当ゲスいフレーズのオンパレードです。万が一日本の町内祭りにこんな卑猥色全開のゲームがしれっと置かれていたときには、ママさん団体が射的の鉄砲振り回して自治体に一揆を起こしかねないレベル。
実際しばらく観察していたのですが、我が子が好奇心で近づこうとするとそれとなく手を引いて回避させようとする親御さんばかり。まあ世界ところ変われど当然の反応でしょう…なのになんでこんなモノが、こんな場に?(しかも電力供給源が、フィンランドの駐車場に立っている冬のエンジン凍結防止用のコードをつなぐプラグ・コンセント用ポストというのがまたなんとも…)
やはり気になってしょうがなかったので、自宅に帰ってから改めて、SEX TESTという言葉をまずはグーグル先生に尋ねてみました。ところが、画像検索で確かめてみても、出てくるのはことごとくオトナのおもちゃやそれに準ずる一般卑猥画像ばかり…まったくこの装置の絵は現れません。そこでmachineという言葉を足して再検索してみたら、やはり無関係のフシダラ画像にまぎれて、チラホラとよく似た形状のマシーンの画像がヒット!ただしそれらは、見た目はそっくりなのですがあくまで名前はLOVE TEST。そのネーミングなら、内容に大差なくともまだ随分マシだと感じてしまうから不思議です…。ちなみにそのラブテスト・マシーンのとある英語プロモーションサイトの商品説明はこちら:
"Sex and Love are still the most interesting topics for people of all ages worldwide. Everyone likes to be the Sexiest!!! This is why this machines is so popular!!! Customer inserts coin and put the hand on panel. In a while a score will appear ranging form Dead Fishto wicked. The Love Test works well in tourist places or where you have teen-agers [expecially girls]. "
観光地やティーンネイジャーの集まる場所ならどこでもウケますよ!ってことは、やはりこれは欧米の観光地や町内イベントの定番アトラクションのひとつなのか。そして、対象世代は、今晩はバーに女を引っ掛けに行くぞという血気盛んな成人男性たちの出陣前の運試し…などではなく、親の目を盗んでわいわい群がり盛り上がるのが楽しいお年ごろの、色気づいてきたティーンネイジャーたちだったというのか…
ミッコが、最近はあまり見かけなくなったけどかつて町内祭やイベントサイトの定番コインゲームのひとつだったと語るのをヒントに調べてみたら、フィンランドでこのマシーンを扱っているのは、Coinline.Oyという、エスポーに本拠を置くイベント用設置遊具やアトラクションマシーンのレンタル・販売会社だと判明(てか写真にばっちりロゴが写ってたことに後で気づく)。ただ製造元はここではないようで、さらに検索を進めてみると、どうやらこのゲーム機の原型を製造しているのは、DPS Promaticというイタリアの企業で、こんなふざけた遊具だけでなく血圧測定器や天気記録計などを製造しているれっきとした機器メーカーであることがわかったのです。
じゃ、じゃあもしかして指をかざしてムラムラ度を判定するというのもハッタリではなく、指先から血流だか心拍だかを瞬時に測定した結果に基づく、結構信憑性の高い判定結果なのかも…!?
そしてこのメーカーが「アミューズメントマシーン」部門で発表している商品の中に、ひとつだけ「これなら知ってる!」なアレを発見!

(画像はDPS Promatic社のサイトより借用)
これ、日本のひなびた観光地とかで時どき見かける「真実の口」の手相占い(?)マシーンですよね!!こんなの勝手に作ってイタリアの遺産協会が目くじら立てないのかしらと思ってたけど、まさか本家本元イタリア製の商品だったとは…。他の商品はきっと日本の風紀に引っかかるということで輸入はされなかったのでしょう。あるいは、極めて健全なティーンネイジャー期を過ごした私が無意識に見過ごしていただけで、実は日本のゲーセンや観光地や縁日会場なんかにも、このセックステスト(あ、私も耐性ついてきてついに堂々名だし…)が置かれてたりしてたのかしら?近年は絶対ムリだろうけど、90年代くらいまでなら許容されてたかも…!?
もし日本でもフィンでも世界でも、目撃情報をお持ちの方がおられましたら是非情報お寄せください。

(再掲。なんだけっこう気に入ってるんやん、というツッコミをあえて否定はしない…)
しかし、本家本元も、支柱の部分にこんなにどうどうと赤字でマシーンの名前を書いちゃあいません。これは明らかにフィンランドの販売者もしくは設置者があとから名入れしたに違いない!!!誰を糾弾すべきなのかもはやよくわからんけれど、とにかく、やっぱり、これはフィンの清らかな片田舎の風景には刺激が強すぎるなあ〜。こんな動揺を胸にもしうっかり1ユーロ投入して判定やってみてたら、判定結果も結構ハイレベルいってたのかもしれないなあ。
ayana@teuva.fi
今週は結構好天づつづきで気分もあがる