2011年07月01日

森を歩いていると

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白樺の木にメイド・オブ・白樺、な鳥の巣箱がさりげなく。おぉあやうく見過ごすところだった。


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いつだったか、鍋で炊きたてのご飯を床にぶちまけちゃって、とても惨めな気持ちになった日のことを思い出した。


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フィンランドのブランコは、持ち手のあたりの鎖にかならず柔らかいビニールが巻いてあり、とても気が効いている。子供のころ、たしかにこの鎖に指を巻き込んでしまったり、後で手が鉄臭くなるのが嫌やったもんなあ。


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郵便屋さんもこれには心和ませて、さぞまた次なる道のりを頑張れることでしょう。


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まるでリボンの忘れ物を保管してくれてる葉っぱ。多分ルリシジミじゃないかと思うのだけど、蝶ってふつう羽を閉じて静止するんちゃうかったっけ?


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こちらもはじめ、葉っぱの上で黒真珠が光っているのかと思いました。森の木漏れ日は、なんでも綺麗に見せてくれる魔法のスポットライトやね。

ayana@kasamaki.fi


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花の週末まであともうひと頑張り!




posted by こばやし あやな at 06:08| Comment(4) | Kärsämäki-カルサマキ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月30日

カルサマキ―聖なる川たゆたう平和の地へ

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オウルから長距離バスで2時間ほど南下したところに、カルサマキ(Kärsämäki)という小さな小さな街があります。ラヌアの街をさらに縮小した感じで、もはや村と呼ぶほうがふさわしいのではというくらい。

フィンランド建築に興味がある人なら、カルサマキと聞いてピンと来る方も多いでしょう。このたわいもない小さな街がにわかに日の目を見ることになったのは、2004年に、街の人々を巻き込んだとあるプロジェクトによって、他所のどこでもお目にかかれない素敵な木造教会がこの地に建てられたからです。

アンッシ・ラッシラという若手建築家によって設計されたカルサマキ教会(正式名称はKärsämäen Paanukirkko/カルサマエン・パーヌキルッコ)については、近年のフィンランド建築の本には欠かさず取り上げられているし、ヘルシンキ工科大学建築学科への留学中、あらゆる授業で頻繁にお目にかかっていました。中規模木造建築に関するグループ分析発表のゼミでも、我われ日本人+チェコ人チームでやはりこの教会を取り上げて、さまざまな検証の成果をプレゼンした懐かしい記憶が蘇ります。

小難しい建築学的なことはさておき、この教会のユニークなところは、一見シンプルないかにも現代的な形状をしているのですが、実はその建造過程において電気機械類は一切使われず、すべて、フィンランドに伝わるあらゆる伝統木造建築の工法技術を応用して造られた、という点です。
そして実際、知恵を出し合いその建造に携わったのは、この街やその周辺に住む正真正銘のカーペンターたちや、あらゆる切り口で「木」に携わる大学や企業のプロフェッショナルたち。まさに、フィンランド木造建築の今と昔を融合させてできた、歴史の結晶のような教会建築なのですね。


百聞は一見にしかず。

さあ、私と一緒に訪ねに行った気分でお楽しみください。


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教会は、町の中心地となるバスターミナルから1.5キロほど歩いた場所にあります。ちょっと長い道のりですが、道中は、このような美しい白樺林やのびのびとした田園地帯のあいだに通る、それは美しい小道をてくてくゆくので、それもまたひとつの楽しみにさえなります。


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白樺林の足元には、うちの母が庭によく植えていたルピナスの群生(もちろん野生です)が百花繚乱。ルピナスは、その存在感でフィンの夏の野を艶やかに彩る、この季節の代表花です。


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一軒一軒、これでもかというほど可愛らしく建ち並ぶ木造一軒家のおうちの庭先では、子供たちがすっぱだかになって、ホースの水をかぶってはしゃいでいました。
なんせ、今日は日本に負けじとも劣らない猛暑の一日。ずっと北に位置するオウルを出たときですでに29度もあったので、ここでは軽く30度を超えていたんじゃないかとおもいます。日差しも、肌にささってくるかのように強くって…。



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いよいよ近くまでやってきました。

この並木道を抜けたところで、教会がじっと待ってくれています。


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聖域への入り口にすっくと立つ鐘楼。野の上には、コンクリート代わりにやさしいウッドデッキが敷かれていて、列車のレールのように訪問者を迷いなく誘導してくれます。



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さあ、本のなかではすっかり見慣れた、直方体+三角柱のシンプルなフォルムがついに姿を現しました。この向きからでは逆光だしちょっと全貌がわかりにくいですね。


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一面ずれた角度から見た全体像は、このような感じです。

そう、実はどの面も単純に長方形で覆われているわけではなく、また、見てのとおり手前の一辺には、エアコンの送風孔のように開口扉が連なっていて、内と外との境界をあいまいにしています。


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全体をブラックボックスのように見せている漆黒の外壁に近づいてみると、タールでコーティングされた木板によるシングル葺きだとわかります。フィンランドの伝統的な建造物の壁や屋根では、木材保護を兼ねてタールによる着色法がさかんに用いられてきました。タールは、フィンランドの森の大部分を形成する松の木を燻して抽出した松脂が原料で、その製造は当時の一大産業でもあったのだそうです。よく見ると、溶けて氷柱のようにぶらさがったタールの雫があちこちに。そのムラっけやひび割れ、日光がよく当たる面からすでに色あせ始めている様子が、手作りならではの質感を醸し出しています。


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なんとこの釘一本一本もすべて、人の手で鉄を打って作られた立派なハンドクラフトです。当然、均一な金属加工技術さえも使わない、というのがこの建物のポリシーであり存在意義ですものね。



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ここが、入り口。出来て7年がたつとはいえ、まだぷーんと切り出したての爽やかな木のにおいが漂ってくる。先ほどの開口扉からどっと陽が差し込み、奥の森の緑のシルエットが映えています。


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扉の先にのぞく景色もなんて穏やかで美しいのでしょう。


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ああ、これまたなんて純朴な継ぎ手の跡!
もちろんこれも、フィンランド古来のログハウスでお馴染みの原始工法ですね。


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機械には逆にこんな味のあるでこぼこは作れまい、と主張せんばかりの元祖表面加工も素敵。



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こじんまりとした礼拝堂の内部に入ると、まるで一本の大木の芯部にやってきたのかと思われるくらい、無着色のか細い木材が隙間なく敷き詰められた空間に、天窓からのやさしい自然光がゆっくりと落ちてきます。

フィンランド人は昔から、唯一絶対神とはまた別の神の存在を、自分たちを取り巻く自然要素のあちこちに見出してきたのだといいます。ちょうど日本のやおよろずの神信仰のように。とりわけ、光と木はこの民族の生活にいちばん直接的に恵みをもたらす、もっとも親しくもっとも敬うべき自然の捧げものです。

だからなのか、フィンランド国内の教会は、現代においても木造教会がとても多いし、またどこの教会の礼拝堂も、自然光の採光に対する繊細な創意工夫の成果がうかがえるのが、とても愛おしく魅力的なのです。


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祭壇の十字架も、椅子も、もちろん木製。
椅子には、背もたれカバー代わりにトナカイかなにかの皮が敷いてありました。



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この神聖なのに親しみ深い空間を後にしようとしたとき、出口の扉で入れ違ってカメラ目線を投げかけてきた赤&青のおちゃめなご夫婦。



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さて、この教会のすぐそばで、夏季のみのテラスカフェがオープンしていました。教会関係の方が開いてくださっているようです。

このカフェが、また本当にしみじみと居心地のよい木造カフェで、なんといってもケーキが抜群に美味しい!!ナッツとベリーを練りこんだ生地のしっとりパイに、バニラソースをたっぷりかけて出してくださいました。これがコーヒーとセットでたったの4ユーロだなんて…近所にあれば毎日でも通いたくなるやん!!

さらに、コーヒーをいただいているあいだ、この教会が出来るまでのメイキングムービーのようなものを、閉店時間ぎりぎりに駆け込んだ私一人のためにもわざわざ上映してくださりました。大工さんたちが汗水たらして木材一本一本を組み上げていく施工の様子だけでなく、住民が入れ代わり立ち代わり見学にやってくる様子、牧師さんや大工さんが一堂に会して行う地鎮祭みたいな儀式の風景、完成後に市長さんを筆頭に街の住民たちが行列をなしてあのウッドデッキのアプローチを渡り歩き、礼拝堂で合唱するシーンなども含まれていて、見ているとなんだか涙が出かかってきました。

施工に関する似たようなDVDはゼミでも見せられた気がしますが、これまで建築学観点でしか捉えていなかったこの教会の真価が、あくまでこの街の人々にとっては郷土に眠っていた伝統技術の再興の場であり、何世紀も前から教会が建っていたという地に聖なる館が再建される希望に満ちた瞬間であり、そして何より祈りの場である…というように、ようやくその土着性と結びついたことで、ぐっとこみ上げてきたのでした。もちろん莫大なコストと人手がかかっており、汎用性には欠けるかもしれませんが、それでもこの小さな街が、手を取り合って教会の建設に踏み切ったことに感謝。



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おなかも心もいっぱいにしてくれた素敵なカフェを後にして、先ほどは歩かなかった教会の裏手から、すぐ前を流れる川にそってしばらく歩いてみることにしました。


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そこには、もうただただ美しいとしか言いようのない、豊かな水と緑に囲まれた風光明媚な景色が限りなく広がっています。



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気がつけば教会がふたつ見える地点までやってきました。
実は、この川を挟んで、教会のまん前のあたり…ちょうどこの写真の右手側が、なんとフィンランドのへそ―国土の中心を貫く経線と緯線の交わる場所なのだそうです(ちなみに同じく日本のへそは、我らが兵庫県内にありますね)。つまり、Suomiの中心はまさにここ、カルサマキだということ!


見てのとおり、この美しい国の中心は、やっぱりとびきり美しい場所でした。

さらに、この湖に見紛うくらい穏やかで清らかな川の名前はPyhäjoki、なんと「聖なる川」と名づけられているんですって。まったく、どこまでよく出来た麗しの国の中心地なんだか!



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この汚れない景色に囲まれて曲がりくねった野道を歩きながら、今自分がいるのが世界でいちばん平和な場所に違いない、と本気で思い込んでいました。それほどまでに、カルサマキの街はあまりに美しく、穏やかで、天国に近い聖なる場所に感じられたのでした。これまで訪ね歩いてきたこの国の多くの街のなかでも、とびきり印象的な、おすすめの場所のひとつに仲間入りです。

かなり行きにくい場所にあるのは確かですが、長距離バスを使えばちゃんと中北部の主要都市からでもたどり着けますので、ぜひこの素晴らしい季節に、ひとりでも多くの人に同じく訪れてほしいと心から願います。



カルサマキ・パーヌ教会http://www.paanukirkko.fi/



ayana@karsamaki.fi


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皆さん、節電は無理なく、どうか夏バテに気をつけてください!


posted by こばやし あやな at 14:27| Comment(2) | Kärsämäki-カルサマキ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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