2016年09月12日

夏、おわる

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今年もまた、短い夏が巡ってきて、そして去ってゆきました。

夏は、フィンランドで暮らす人々にとって、一年という大きなバイオリズムのうねりのなかの「躁」の期間です。そのことを、この地で夏を過ごすたびに強く実感します。そしていまや自分自身が、その軌道に見事のせられてしまっていることも。今は季節が秋に交替して、いちばん冷静かつ穏やかに日々や自分自身を振り返ることのできる時期です。そして間もなく、辛いこと、耐えるべきこと「ありき」の環境のなかで、それでもどれほどストレスや苦難を抱えず(抱えておらぬふりして)楽しく穏やかに過ごしていられるか、試される季節がやってきます。一年はそうして波を寄せて返して、下地だけみると延々と同じ波形の繰り返しです。

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今年は総じて、例年になく非常に良い(気候の)夏でした。夏至祭の日が雨が降ったり寒さに凍えずに迎えられたのもいつぶりかという感じだったし、キノコを育てるにわか雨が適度に降りつつも、気持よく晴れる日がとても多くて、あまり寒い思いをせず、かといって暑すぎず、不平不満なく過ごせる日がとても多かったように思います。さらに夜が暗くなり始めたころからオーロラも連日連夜ビッグウェーブ。日中は外でよく泳いだし、ベリーもたくさんストックできたし、なによりキノコが早いうちから大豊作でした。年々キノコ採取の知識経験にたいする飽くなき野望が肥大化し続ける我々夫婦。今年はついに、松茸の大脈を探し当てて数キロにおよぶ収穫が得られたほか、今年はじめて天然シメジの見分け・採取にも成功しました(去年まではフィンランドの森で採れることすら知らなかった)。シメジは、フィンランド語でもshimejiと表記されます。ポルチーニも、杏茸も、その他あらゆる食用キノコをまんべんなく大収穫。まあ当然ながら、我が家の食卓に日々キノコが並ばない日はありません。

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と、お宝ハンティングに関しては十分リア充してはいるのですが、幼少期からのナンデモ収集癖が抑えられずポケモンもちゃっかり集めています。先日ようやく、この小さな街の中の移動だけで100種達成!どこかのポケスポットにたむろして…という時間までは取れないですが、ユヴァスキュラ内で日常的に(もちろん仕事中はオフにしてますよ笑)自転車や徒歩での外出の行き来の際につけっぱなしにして待ち構え、気が向いたらほんのちょっと遠回りして帰ってみたり…ということをしているだけでも、開始(7月下旬)から今日までですでに200キロ近く移動しているようなので、なかなかびっくり。公共交通機関に頼れないこの街、日々それなりに動かざるをえない生活してるんだなあ…と気づかされました。

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と、ここまでただひたすらレクリエーションのことばかり書いてきましたが、お仕事のほうもまずまずの充実度で、今夏も無事に身ひとつで走り切ることができました。今年の夏はたまたま、われわれ一般人がいわゆる「有名人」と呼んでいる方々のプライベート旅行やお忍び滞在時間を預かる、という機会が続きました。私自身も日本にいる時から(テレビや本や作品を通じて)よく知っていた、影響を受けた方たちです。同じ日本という国に暮らしていたときには、そうしてメディア越しにしか見聞きすることのなかった遠い存在の人たちと、こうしてフィンランドに出てきてからご一緒させていただく、しかも私のスキルを信じて頼ってもらえる、というのは、話をいただいた瞬間もちろん不思議な感覚に身を持って行かれ、舞い上がってしまいます。
でもその不思議さにどきどきそわそわしてしまうのは実際に対面する時間までで、出会って、交流がはじまると、もうそのときは人生で出会った1人の生身の人間です。その圧倒的な感性や才能や努力のきらめきが何げない言葉や仕草の隙間に覗いて、おなじ人間でもこうも持ち合わせているものが違うのか…と羨望とうんざり感が一気に我が身を襲う瞬間ももちろんあるのですが、傍からすればなんと図々しいことかと思われるのかもしれないけれど、あ、この人とは相性が良いしきっと仲良くなれる、と琴線に触れる心の交流ができるときもあるのです。

ともかく、一際多忙で人の目も気にしなければならない生活を送ってらっしゃるなかで、貴重なオフ時間をここで穏やかに、楽しく、効率よく過ごすために自分を頼ってくださった皆さんに対しては、こちらも、メディア媒体のためのロケや取材撮影にのぞむときとは違ったもてなし方や接し方が必要とされる…というか喜ばれることを、一瞬一瞬のレスポンスから体得させてもらいました。こうした経験からも、今年の夏はコーディネーターの大事なスキルなひとつである「おもてなし力」の幅を特に広げてもらえたような気がします。

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photo: Petteri Kivimäki


今年の夏のもうひとつ思い出深いできごとは、大学の卒業式に全修了生総代(primamaisteri)として出席し、いろいろと一世一代の大役を遂行したことです(当初はいち学部の総代だと思っていて蓋を開けたら、責任の規模が違ってた…)。こちらはまた一から言葉を変えて振り返るのがしんどいので、以下、まずは当時のフェイスブックの日記をコピペさせてください…苦笑

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四年に一度開催の大学全学卒業式(過去四年のマスター・ドクター修了生を対象にした任意参加の修了認定式)に、全修了生の総代という名誉ある大役を背負って参加しました。全参加者の一番前を歩き、式中にはお世話になった教授と一緒に登壇して、修士論文の内容について公開ディフェンス儀式に挑みました。
フィンランド語で文学部の論文一本書けば、語学の実力もつくだろうし世間にも在住コーディネーターとして認めてもらえるだろう…という一心で捨て身の渡フィン。当然最初は授業についていくことすらままならなく、その後の進捗を思い返しても、当然こんな日が来ようとは想像だにしませんでした。ここまで、幾度か心折れる寸前まで七転八倒してた自分への「頑張ったで賞」として、また学生生活を実務でも精神的にも支え続けてくださった方々への「感謝の証」として、誇り高く全学生の一番最初に冠をいただきました。

人生二度目の大学生活のなかで、文学部の学問道の楽しさを再び味わいながら同時に、天職、生涯の伴侶、数えきれない出会いや縁と巡りあうことができ、今毎日がこんなにも楽しく幸せで、移住してからここまでの軌跡に何一つ悔いも不満もありません。また、納税力のまだまだ弱い一移民として、変わりゆくフィンランドの教育・社会システムのなかで、時に申し訳なく感じるほどの恩恵を受け、最後まで苦なく学業を続けられた環境にも本当に感謝しています。

学生という肩書がはずれた今、今後はこの国の良き納税者となることでその恩をきっちり返してゆきたいです。この国の過剰なほどの学生への投資と優遇は、まさにこの気持ちを持たせてくれるための社会制度なんだなあ…と、いま我が身で実感しています。(8月21日/一部加筆)
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マスター修了生のシンボルアイテムである月桂冠は、なんとこうしてパートナーの手で本物の枝葉から作ってもらいます。これが卒業式初日の儀式で、その後3日間にわたって、古いしきたりに則った儀式が次々に執り行われます。

もちろん今も、上に述べた気持ちはそのまま心に留めて、真に自立した生活へと移行を目指し試行錯誤をつづける最中です。何せ冒頭に述べたように、生活が落ち着き自分自身が一番冷静沈着になる秋がやってきたので、その日暮らしでつい面倒なことを先送りしてしまう日々の見直し、努力してもなかなかうまくいかないことへの対策、そのほかそろそろ真剣に考え動き出さねばならないこと、などなど、向き合うべき課題が次々に可視化してきてしまい、その都度うんざりもするし、ついついすべて投げ出し思考や身体を止めて休みたくなってしまいます。周囲も、少しでも私がそんな愚痴や弱音を吐こうものなら全力で「思い切ってしばらく休みなよ」と誘ってくださいます(笑)てか、前回のブログでも、今後は少しスピードを緩めて…とみずから公言してますね…。
でも、現実的にそういうわけにもいかずに今までの延長で走り続けようとしてしまう理由は、単純にまだそんなに疲れていないのと、動くのを止めたらここからの生活が立ちゆかなくなる怖さから、なんでしょうかね。生活=お金でもあり、キャリアでもあり、充実した日々でもあり…。

想定外のできごととか、不可抗力によってでないと、多分今後も自分のライフスタイルは自分でゆるめたり大きく改変したり、ということはできずに半自動運転でレール上を先に先に行ってしまうような気がしてしまいます。それが幸せなのか不幸せなのか、ちょっとよくわからない。「想定外」を待つが先か、みずから「不可抗力」を迎えるが先か…人生という旅路をてくてく歩きながら頭をかすめる悩みや思索に気を取られがちな今日このごろです。

ayana@jyväskylä.fi


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一時帰国までに、もう1回くらいブログを書けるように。

posted by こばやし あやな at 08:29| Comment(0) | 大学院生活 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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