2015年12月17日

己の努力の限界を知る

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上の写真は、スーパーのフィンレイソン・ムーミンファミリーバスタオル売り場で思わず二度見して隠し撮りまでしてしまった衝撃ワンシーン。。ただでさえ破廉恥な出で立ちのムーミンママのチラリズム(←まだこんな言葉あるのか?)を、さらにここまで恥じらいなく拡大トリミングし陳列するとは。ムーミンパパもこれには赤面しちゃいそう。。商魂たくましいと讃えるべきなのか、なんなのか…(全体像のデザインは左下のイラストです)

さて話は真面目なほうへ。昨日、ようやく、ユヴァスキュラ大学へ提出した修士論文の最終評価と、主査はじめ担当教官たちからの長〜い講評文を賜りまして、なんとうちの大学評定における、ちょっとレアな最高評価をいただいてしまいました!!あああっようやく報われた!!!
評定は、漠然とした総評というよりはいくつかの観点からの評価の総合値から与えられます。言語ハンディがある時点でまあどれだけ頑張っても到達点には限度があろうから、とにかく講評文で内容や論証だけでもそれなりに評価してもらえば良いや…という目標設定でこの半年余りあがいてきたので、さすがにこれは良い意味で意表を突かれた結果。正直、直後は「なあんだ、結局文章表現力は最初から目をつむったのね…」と穿った受け止め方をしそうになりましたが、この観点においての講評としては「多少筆者の母国語に成り立つ表現や論法が散見されるが、論文としての簡潔さや説得力の上では障壁になるものではなく、むしろ文章全体が生き生きと自分の言葉で語られていて良い」のだそうです(笑)さすがフィンランド教育の要、ポジティブシンキング〜!!非母国語の世界で「生き生きと」、という評価は、書き物やさんとしては素直に嬉しいですね。

あとは、(これは多少自信があったけど)きめ細かい論証と、一見シンプルな表象に対する洞察のオリジナリティや深さ(執念深さ?笑)が特に評価されたのと、一回目の主査からの講評会のあとに、言われたこと+自分でも気になっていたことをためらいなくがっつり修正・改良して、目次からして別物レベルの改良作を最終作とした点が(驚きを持って)好く受け止められたようです。記事でもレイアウトでも論文でも同じなのですが、一度自分で「こんなもんでいいだろう」と思って完成させて提出したものから、内心自身でもしっくり来ていなかった小さな違和感・矛盾を、ちまちま直して辻褄合わせようとするのは返って時間と労力を消費するやり方なので、私は好きではありません。昔はそうだったんですけどね…。既にあるものにしがみつかず、他者の意見やアドバイスを素直に聞きつつ、前作を大胆に覆して別物に作りなおす勇気と突貫工事力は、やはり編集者時代に得た一番の財産だと思っています。結局そっちのほうが時間がかからず、何より潔く割りきって新しさを追求できるので、最終的に、最初より絶対満足のいく、堂々とした成果に対峙できるものなのだと信じています。今回もこの方針に救われたと言えるかな。

さて、こうして「終わり良ければ…」な今だから、このフィン語での85ページに及ぶ論文執筆作業という人生の一大チャレンジをなんとでも呑気に振り返られるわけですが…笑

素直に吐露すれば、今回の論文執筆で、私は自分自身の「努力の限界点」を身を持って知りました。つまり、今後の人生では、何であれもう絶対に今回の論文以上に身の丈を越えたことを必死に頑張ることは止めよう、というストッパーとしての限界点です。理由は明快、今回以上に何かを頑張ったら、そのときは確実に体壊すから。大学一年生が、まもなく自分の酒の限界を身を持って知るように、私も今回ばかりは、途中何度も身体のきしみと訴えにはっきりと気づき、以前のブログに書いたようなあらゆる対処法の合わせ技で、まさに寸止めでどうにか最悪の事態を回避できました(ちなみに、自分の酒の限界はまだ知りません…記憶なくすどころか吐いたことも一度もないのでw)。たとえその先に大きな達成感や評価やキャリアをちらつかされても、もう後の人生でこんな無茶チャレンジはしないことを、ここに誓います(笑)私は二十歳すぎまで海外に出たこともなかった大和撫子なのだ。考えることは好きだけど、何も2つの言語文化に心身引き裂かれるような苦痛に見まわれながらなおも未熟な非母国語で思索したり長々文筆したりする必要も意味もなかろう…

とはいえ、フィン語で文学部の論文を一本書ききる、というのは、5年前に自分が自分に課した「フィンランドでこの先やって行くための判定課題」でした。自分は在フィンランド歴もフィン語歴も浅く裏付けになるような資格も何一つ持たずにフィンランドに乗り込んでいくんだから、せめてフィン語で論文一本書いて、それをキャリアにし、またそのプロセスを血肉として、それから現地ジャーナリストの道の未来を見極めよう、という思いで、大学院を受験したのは本当です。結果的に思いがけず早いタイミングで仕事のほうが先に軌道に乗ってしまい、大学の先生方には大いに迷惑をかけ続けてしまいました。それでも、とりわけ今回こんなにも身に余る最終評価を下してくださったパウリーン教授は、「外国人がここでやりたい仕事に就けるなんて本当に恵まれているんだから、(学業も仕事も)どちらも焦らず頑張りなさい」と、私がこれまでどれだけ仕事を言い訳に授業スキップしたりレポートの期限延長を懇願に行っても、ずっと笑顔で許して励ましてくださったのでした。また、ここまで長々論文提出を引き伸ばしても小言さえ言われず、生活に困窮することなく学びの機会を得られ続けたのも、ひとえに学生一人ひとりの多様性と将来性を受け止めてくれるフレキシブルなフィンランド大学教育の恩恵あってのこと。これらの恵まれた環境に加えて、ネイティブたちに混じってなぜか常にあくせくしている私の不可思議な奮闘ぶりに最後まで理解を示し支えてくれた恩師たちやゼミ仲間、オケや日本語サークルの友達などなど、月並みですがこの大学で出会ったすべての人のおかげで、人生最大のチャレンジをひとつクリアすることができました。もちろん一番大きく感謝したいのは、ときに私の心のなかまで覗いて(笑)いつもより良い表現を提案してくれる人生最高の専属ネイティブチェッカー、ミッコですよ〜。


…この流れで、「というわけで私こばやしあやなは間もなく大学を卒業し、長かった学生生活に幕を下ろします!」と宣言できれば良かったのですが…

論文はこうして無事に受理されたものの、斯く斯く然々な事情で、私はもう少しばかり、しがない大学院生を続けることになります…まあ、そのあたりのことは、真の卒業宣言のときに弁解させてください(笑)

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明日からは、今年最後のヘルシンキ出張!


posted by こばやし あやな at 05:39| Comment(3) | 大学院生活 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
おめでとうございます!!!
心身ともに危うくなりそうになりながらも、必死で頑張った成果を認めてもらえたんですね。
おめでとうございます。
Posted by るん at 2015年12月17日 15:34
おめでとうございます.
私はフィンランド語が分かりませんが,ayanaさんが書く日本語の文章には躍動感があって好きです.これからも日本とフィンランドの架け橋として,いえ,両国にとっての扉のひとつとして活躍されることを祈念しています.

まずは一息ついて,リセットしてくださいね.
Posted by kotori at 2015年12月19日 15:36
るんさん!
ううう、ありがとうございます。結果がついてきたのでようやく、自分でも自分の努力を素直に認めてあげることができました!!

kotoriさん
嬉しいこと言ってくださいますこと!!確かに橋より扉のほうが、直通ですものね。これからも日フィンのどこでもドアを目指して精進しますね!
Posted by Suomiのおかん at 2015年12月24日 05:44
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