2015年07月26日

フィン最南端の街は、物と人の門出の街

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実はよく私の日記の、ガイドブックにはのらないマイナー地方都市のレポートが楽しみです、どんどんお願いします、という声を頂戴しています。確かにふと右サイドバーのカテゴリーリストを見れば、無自覚に結構いろんな地域の街の名前が溜まってきている!取材で訪れた街もあれば、プライベートで足を運んだ街も。地方都市に強いですよ〜と豪語する在住ライターとして、国内の街コンプリートは不可能にせよ、確かにこれは今後もちまちまと増やし続けていければオリエンテーリングみたいで良い記録になるなあと思ったので、先週私自身が初めて来訪した街のレポートを新たに書き記しておきます。

先週末は、一年ぶりにミッコのブラジリアン柔術の試合観戦…という良妻アピール度の高い大義名分のもと、柔術チームの皆さんの車の空席に乗せていただき、フィンランド最南端の街ハンコ(Hanko)へ。ヘルシンキからなら車で西方面に2時間弱、ユヴァスキュラからだと4時間あまりの長旅でした。最南端なのでもちろんバルト海に面しており、気候も多少温暖で晴れる日が多いので、いわゆる夏のリゾート街だよとは聞いていたのですが…

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天気の良い週末なのにビーチ空っぽですけど!!
まあ確かに海に飛び込みたくなるほど暖かい日でもなかったのですけど、街全体が予想外に閑散としている印象でした。今回時間がなくていけなかったんですが、少し車で行ったところに魅惑のヌーディストビーチがあるらしいので、ひょっとしたら皆そこに集中しているのかも?

ちなみにこの辺りの南岸エリアはスウェーデン話者が優勢の街が多く、ハンコの場合は街を歩いていた感じでは半々くらいなのかな?という印象。もちろん首都圏のフィンランド人からの観光客が多いはずなので地元民か否かを見分けるのは難しいのですが、ローカルなお店に行って店員さん同士やお客さんとの会話を聞いているとどちらも一定数居るのだろう…と推測されます。看板も、場所や店によってフィンランド語が先に来ているところもあれば、スウェーデン語が上の場所もあり、という可逆的な雰囲気。

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ハンコの中心街のおよそどこからでも臨むことのできる、教会と同じ丘の上にそびえ立つ朱色のロケットのような構築物は、なんと給水塔。戦時中の1943年に築かれたもので、設計者は、ロヴァニエミとか、私の身近なところではセイナッツァロなど、国内各地の教会建築の設計で知られている Bertel Liljequist氏。彼の教会建築は、わりと正統派な古典主義の印象が強いのですが、そんななかでこの給水塔は色も出で立ちも一種独特なインパクト。先っぽにさり気なく魚(くじら?)のレリーフが刺さっているのがおちゃめです。
この給水塔にかぎらず、フィンランドの各街には、よくお客さんからも「あの宇宙基地みたいな建物は何ですか?」と尋ねられるインパクトの強い給水塔が多いです。このハンコの給水塔やエスポーのアールト設計のものみたいに著名な建築家がデザインしている物も少なくないのですが、そうでなくでもかなりユーモラスなかたちをしていて、モノリス状のものに萌えやすい私は、よその街に行くとその街の給水塔デザインをチェックするのが密かな楽しみになっているほどです。
そもそも私、日本では給水塔という構築物に関心を持ったことすらなく、今改めて画像検索してみたら、日本にもなかなか強烈なデザインのものが多いじゃないですか!そしてやはりというか、一部のマニアたちが全国給水塔ツアーを楽しんだりしてるみたいです。ピンと来ない人はぜひ日本語の「給水塔」そしてフィン語の「vesitorni」で画像検索をお楽しみください!

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移動図書館はユヴァスキュラでもよく見かけるけど、移動スーパーは初めて見た!高齢者の多い街では喜ばれそう。

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すぐそばで見ると老朽化が激しすぎて大丈夫かと思ってしまうけど(すぐ先が海で潮にやられるのか?)、通りを隔てて眺めると、なんとも趣深いテクスチャに見えて魅力的にさえ思えた建物。

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こちらは浜辺で見かけた、希望と哀愁のどちらもを背負って海に飛び立つ白鳥たちのモニュメントで、1800年代後半から1930年頃までにかけて、フィンランドからアメリカへと渡った移民たちの記念碑なのだそう。この期間に、実に40万人のフィンランド人が新天地を求めてアメリカに向かい、そのうち半分以上の人が、このハンコの港からまずイギリスに渡り、そこからアメリカを目指す…というルートをとったのだそうです。
北欧の人たちのアメリカ移住ブームは、主にプロテスタント・ルーテル派を信仰する人たちが宗教的な自由の地に憧れて…というのが理由だと書かれていましたが、特にフィンランドからの場合、ロシアの圧制下での生活に希望が見いだせず、自由の国と謳われる新世界で人生をリセットさせられたら…という思惑があった人も少なくなかったのではと察してしまいます。
それにしても、40万人とはすごい数!今のヘルシンキ市の人口の70%以上に匹敵する数ですもんねえ。北欧からの移民の多くは現在ミネソタ州に定住しているとよく聞きますね。景観もよく似ていて暮らしやすいのだとか。

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最南端の街から海原に出て行った(出て行く)のは移民だけではなく、もちろんこの街の港は、今も昔も海上の物流拠点として大きな役割を果たしており、写真はないのですが、漁船やクルーズ船だけでなく別の港から大型運送船がターミナルを行き来していたし、列車のハンコ駅の先にもまだしばらく貨物列車ように鉄道が伸びていて、たどってみるとまさに貨物港まで敷かれていました。ハンコはもちろん南方のさわやかなリゾートの街、という一面は間違いないし、海辺の一戸建ては自宅にせよ別荘にせよハイソ感がぷんぷん漂っていましたが、いっぽうで街のふとしたところで目につく、無骨で古びた建物や港湾施設の数々は、華やかさとは無縁の、モノが行き交う湊の風格をお漂わせています。高校時代を神戸の浜側で過ごした私にはなんとなく、ここは須磨海岸ではなく和田岬…という印象を持ちました。そもそも上のハンコ駅の駅舎も、曲がりなりにも在来線の終着駅でありながら、リゾートの期待膨らむ客人を歓迎する気ゼロのこの無愛想さっすからね。。

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と、ハンコ紹介だけではまさに本末転倒なので、一応試合観戦記も…笑
今回は決して大きな大会ではなかったんですが、白帯以外の選手の混合オープン戦で、ミッコは初戦で国内ランク3位の超強豪にあたってしまう不運さ(対戦相手は前日に発表されます)。前回私が観に行ったときも最初の相手はその後の世界選手権で同色帯同重量級の世界チャンピオンになった猛者だったし、もしかして、珍しく私が見に来るとクジ運悪くなっちゃうジンクスの予感…!?
ともあれ、いざ挑んた対戦では、相手との力量差を考えればずいぶん健闘していました。優勢に立つことはなかったけど、かなり防衛で粘っていて、結局最後の最後で絞められちゃったけど、本人も受け身の手応えはかなりあったと、負けたとはいえわりと晴れやかな様子。実際その相手は、その先もまだ4試合くらい勝ち上がって難なく優勝しており、他の対戦相手はものの数秒でギブアップという人も少なくなかったし。彼の所属するタンペレのクラブの男子チームは、国内随一、どころかヨーロッパ随一のレベルとして名を馳せているのだそうで、実はその彼も、もともとユヴァスキュラのファイトクラブにいたけれど、柔術を極めたくてわざわざタンペレに引越して再就職もしたのだそう。そりゃあもうその時点で情熱勝ちですな。

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ユヴァスキュラチームは、宿泊地としてハンコから少し内海に入ったあたりにある、キリスト教学校の宿舎(こういう施設は夏場は空っぽなのでよくユースホステルになる)に泊まり込んでいました。眼の前がこのとおりの穏やかな海で(対岸に見えているのは群島)、夕日を浴びながらちょっと青春染みた時間を過ごしたり、深夜まで共同リビングルームでボードゲームやおしゃべりに明け暮れたりと、なんだか学生時代の合宿ムードを彷彿とさせる和やかさ。試合終了後の夜はもちろんバーで打ち上げ!だったのですが、私は急遽翌日に仕事でヘルシンキに行かなければならなくなり、泣く泣くノンアルコールでご飯だけ食べて宿舎に帰ってきて、荷物をまとめるはめに…しょんぼり。

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ということで翌朝はミッコに駅まで送り届けてもらって、しぶしぶ上京。実際はKarjaa駅で乗り換えがあって、そこまでの区間はミニ2両編成のザ・ローカル列車で、ガタゴトとしばし田舎旅。森を抜けたり海の上を走ったりと景色はそれなりに楽しめますが、間の停車駅にびっくり。駅舎はなく、待合ベンチだけがポツンと設置されたバス停以下の駅ばかりなのですよ。こうして東西本線(トゥルク・ヘルシンキ線)から途中ぴろっと別れて港にのびるひなびたローカル線…やっぱりハンコはフィンランドの和田岬やな(ローカルネタですみません…詳しくJR神戸線の和田岬線路線図を見てみてください)。

ayana@hanko.fi


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そういえば在フィン者にお馴染みのハンコ寿司の本店に行けなかったのがちょっぴり悔やまれる

posted by こばやし あやな at 18:02| Comment(0) | Hanko-ハンコ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年07月25日

もったいない精神を振り払え

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写真は二週間ほど前に潜入してきた、タンペレにあるフィンランド初の猫喫茶のワンシーン。猫ちゃんもたくさんいますが、インテリアもまたとことん猫なので、本物が置物たちに紛れてとろーんと微睡みはじめてしまうと、みごとに見分けがつかなくなってしまいます。つい先日はヘルシンキにも新たに猫喫茶がオープンしたようですね。最近は週末ごとにいろんな街に出かけたりもしているので、この日記初登場になる街の旅日記くらい書きのこしたいなあと思いつつ…。

今週は大学登校皆勤賞で、かなり論文執筆に集中できました。それでも目標枚数には到達せず、それどころか昨日まではずっと論旨の方向性に懐疑的になりながら無理に書き進めていたので、今日いったん頭のなかを整理してマインドマップを書きなおした上で、潔く消すべき部分は消して、書き直すべき部分は書き直して、順序の組み立てを変えるべきとこは変えて、その上でようやく少しずつ安心して先に進めるようになりました。
普段(特に字数制限のある)仕事の記事や日本語レポートなどを書く場合は、まずは分量の5倍は書いて、そこから推敲に推敲を重ねて余分をそぎ落とし、同時により伝わりやすい言葉に言い換えていく…というのが長年培ってきた自分のライティングスタイル。けれどやっぱり異国語での長文執筆では、まだまだ実力不足ゆえに、この手は使えない。。。単純に、悠長にそぎ落としたり言い回しを変えてみたり…というほどたっぷり迅速に文章を書くことがまだできないのです。それゆれに、なんとか書けた部分を後でばっさりカットしたり表現を変えることが、惜しくてどうしてもできない…。この文章書きなおすべきかなあと内心読めていても、頭にもったいないおばけがチラついてそそのかしてしまうのです。
でも昨日今日の教訓で、やっぱりそれでは結果的に自分を苦しめてしまうことを痛感。日本語のようにたっぷり書きだめて余分カット、までの余裕はなくとも、せめて、雲行きが怪しくなってきたらいったん手をとめてちゃんと見返して、ここは要らないな、書きなおしたほうがいいな、という頭の判断にはしっかり従うべきですね。

ところで今日は、身の回りのいろんな人たちから良いニュースを聞きました。大学時代の親友が予定日より一ヶ月早く産気づいてともあれ母子ともに健康に我が子を産んだとか、また別の友だちがフィンランドに遊びに来ることが決まったりとか…そんな一日の締めくくりに仰天させられたのは、昨年お仕事でご一緒させていただいた佐野研二郎さんの図案が東京五輪のエンブレムデザインに選ばれたというニュース!嗚呼なんと栄えある偉業…我々パランデル家は、年末の帰省時に東京で佐野さんに結婚祝い飲み会を開いていただいていたのですが、(もちろん知る由もありませんでしたが)その時にはすでに内定されていたのですね!!興奮するがままにミッコと急いで祝福のメッセージを用意。



今それでなくとも競技場のことで国内が混沌としているタイミングで、こんなに国民誰の目にも触れるものを発表した以上、この上ない誇り高さと同時にきっと賛否の波にもまれる大変さも待っていることは目に見えています。けれど胸を張っていつもの笑顔でい続けてください、佐野さん!私は少なくとも、パッと見て綺麗で無難で否を打つのは難しいけど(万人受けを最優先してる感じで…ごにょごにょ)という印象のあった招致時のデザインより、挑戦的に、でもポジティブかつ協調的にちゃんと次の時代に向かって前進していく、デザインとしてのクリエイティブさが感じられて好きです。クリエイティビティを与えられた我々人間は、どんなときも現状に満足して歩をとめてはいけない!昨日無事発売されたカウニステ本のインタビューの時にデザイナーのマッティ・ピックヤムサが語ってくれて、以来個人的にも心に留めていることがあって、「売れやすさ(好感度)」や「流行」最優先のデザインはやっぱりフェイクにしかならない。なぜならそこには、作り手の誠実なメッセージや思いや遊び心が欠けているから。今日の大量消費社会には実際あまりにそういったものがあふれているから、今回のように国や時代を代表する使命を持ったデザインは、うかつにその延長上で作ったり選んだりしてはいけないと強く思います。
きっとこれからずっとあちこちで目にするなかで、このシンボリックな色や形にどんどん新しいイメージや心地を喚起される人も多いんじゃないでしょうか。正直、(とりわけ本国離れて情報だけを頼りにしていると)東京五輪はなんやかんやで今前向きに士気を保つのが難しく思われるけど、佐野さんのあのポジティブでユーモラスで人思いなキャラクターとそれらを宿したデザインの力に明るい未来をけん引して欲しい!と、北の果てより強く願ってやみません。

ayana@jyväskylä.fi


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明日は久々に20度超えの予報ですって!!

posted by こばやし あやな at 05:13| Comment(0) | 大学院生活 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年07月23日

2冊ともどうぞよろしくお願いします!

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なかなかいつまでたっても気温の上がらない、ザ・冷夏です。日本で冷夏と言ってもほんとに冷たい夏はありえませんが、こちらでは文字通り冷え冷えして身体を震わせる日(朝夕どころか、日中でも)も少なくありません。これまで20度超えした日なんて、まだ片手で数えられるくらいだったんじゃないかしら。思えばちょうどクオピオの取材中に、その珍しい夏日が集中してて、あのお方が日本に帰られたタイミングでまた寒い毎日が再会したような…太陽を操るスポーツマンは松岡修造氏だけではなさそうです(笑)

さて、いつもながらの言い訳ですが、最近あったあのことやこのことをたまにはblogに書きたいなという思いはほんのりあるものの、近頃夜はたいがい森か湖畔に遊びにいってるので、なかなか実行に至らず…またもや仕事がらみの告知でようやく腰を上げ更新する不甲斐なさを感じつつ、ではあるのですが…

明日23日は、たまたま関わった著作物が2冊同時に日本の書店に並ぶようなので、それぞれ紹介させていただきますね!

まずイントロ写真として帯付きの表紙デザイン写真を載せているのが、今年上半期をかけて、私自身も何度もヘルシンキを往復し、すばらしい取材・撮影・編集チームの皆さんとともに長い時間をかけて取材執筆に取り組んできた一冊、題して『カウニステのデザイン 北欧テキスタイルブランドの新しいかたち』というMOOKです。カウニステ(Kauniuste)というのは、2008年にヘルシンキで誕生し、わずか数年の間で急成長を遂げて国内外にファンを増やしている、今注目のテキスタイルデザインブランド。本書は、そのブランドやメインデザイナーたち、専属カメラマンが企画や取材に全面的に協力してくださったことで完成した、渾身の、ブランド初のムックであります。

本書で初めて堂々と明かされていますが、実はブランドの創立者は、縁あってヘルシンキに移住してきた、それまでデザインの勉強歴も経験もなかった1人の日本人なのです。私は以前から、とある北欧デザイン関連のウェブコラム執筆を通じて、個人的にこの方とは繋がりがあり、お仕事のヒントをいただいたり恋愛相談にのっていただいたり在住日本人イベントを共同開催したり…ともあれヘルシンキに立ち寄ったときはたいがい誘って一杯やりに行く仲でした。
だから、昨年の秋に制作会社からこの本の執筆のお話をいただいたとき、私はてっきり彼が推薦してくれたのかと思ったのですが、実際はただの偶然だったそうで…その上、(私の人選には関わっていない)出版社の担当者さんも、All Aboutなどの記事を通じて熱心に私の活動を見守ってくださっていた方だとわかり…こうしてあれよあれよと面白いところで縁がつながり、スタッフが固まって、年が明け、本格的に始動してからは、ただただ全力投球で、本のために自分のもてる力と時間を捧げてきました。
個人的に、この本は、私が移住してきて無謀にも在住ライターを名乗ってあくせくし始めて以来、これまでずっと270キロの距離を隔てながらも私の活動を公私ともに見守り支援もしてくださっていたヒロさん(あ、ここに来てついに名出し笑)への恩返しの意味合いが強かったといえます。これまで執筆活動を一緒にやったことはあったし、お店の紹介記事を書いたこともあったけど、今回ようやく、最もお互いの専門を活かしあえる立場で一冊の本をつくる、というこれまたお互いにとっての夢のひとつを叶えるサポートをしあえたことが、振り返ってみて何よりも幸せでありがたかったなと思っています。

半年間内部の内部まで覗かせていただいたKaunisteは、一言で言い表すならば「誠実」という言葉に集約されるブランドです。どのように個性豊かなデザイナー一人ひとりと向き合っていくのか、デザインの良し悪しの境界はどこにあるのか、ビジネスとはいえ絶対に譲れないことはなにか…スタッフからも、デザイナーからも、返ってくる答えにはいつもはっとさせられる信念と誠実さがこもっていて、私はとにかくその凛とした人々の思いを零れないように両手ですくい、字数制限の限られた紙面にそっともれなく落とし込むことに集中するのみ、の作業でした。

ビジュアルも重要なMOOKなので、これまでの作品のコレクション紹介はもちろん、起業秘話、ものづくりの理念、製造過程からデザイナーたちの綿密取材まで、まさにブランドの魅力が結晶化したような一冊になっています。そして何より、北欧デザインやブランドのファンだけでなく、たとえば今新しいブランドや企業の立ち上げを考えているような方の心にも必ず響く一冊だと思います。明日以降、書店にて、あるいはAmazonサイトももちろんありますので、少しでも多くの幅広い方が気軽に買い求めてくださったら嬉しい限りです。どうぞよろしくお願いいたします!

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さてもう一冊は、全面的に関わったというわけでもないので少しさらっと…
日本や世界の魅力的なイラストレーター、クリエーターたちのものづくりのプロセスや思考に迫る月刊誌『イラストノート第35号』がどどんと北欧特集!ということで、私は、今年日本にも本格上陸してきたフィンランドの老舗テキスタイルブランド・フィンレイソンの人気デザイナーのお二人と、ノルウェーを拠点にしたデザインユニットのダーリン・クレメンタイン、そしてフィンランド自治領のオーランド生まれで現在はNYで活躍するロッタ・ヤンスドッターさんのインタビュー記事をそれぞれ書かせていただきました。

こちら結構自分自身がハードなスケジュールにあるなかで引き受けた案件だったので、ノルウェー人の取材記事をデンマークのホテルでまとめたり、スウェーデンからスウェーデン語が母語のロッタさんにHejとラブコールを送ったり…日頃はフィンランド関連の仕事一本の私にとってもまさに異例の「北欧特集」な日々でした(笑)
巻頭特集は今主宰するブランド急成長中の鈴木マサルさん。以前代々木上原のケースギャラリーでトークイベントをさせていただいたときに、同じ日の私の前に同じ場所でトークされていて、少しだけ交流がありましたっけ。こちらも色鮮やかな見本誌が届くのが今から楽しみです。こちらはもう、北欧テキスタイル・デザインファン必見の一冊ですので、われこそという方はぜひ抜かりなくお買い求めください!

今年は今のところ振り返って、学業大詰めなのもあってかなり仕事はセーブしているのですが、その分ひとつひとつ貴重で実のある仕事に携われている満足感はかなりあります。カウニステの本しかり先日のドキュメント撮影しかり、長期的なプロジェクトに関わることも増えているのでなかなかすぐに成果が形にはなりませんが、ひとつひとつじっくりと誠実にこなすことで、私自身もちょっとずつ前進を続けていきたいです。

ayana@jyväskylä.fi


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4年間履き倒した長靴がついに穴あいた…同じの買い換えるか…

posted by こばやし あやな at 05:17| Comment(0) | お知らせ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年07月11日

プロ意識

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月曜の夜にユヴァスキュラに戻ってきて、翌々日くらいまではアフターフォローや不在中に溜め込んでいた諸々の事務処理と締切りで腰を落ち着けることができませんでした。が、それらが一段落して昨日、今日は、さあ修論のための最後のインタビューデータのテープ起こしやるぞと決めていたのに、なんだかちっとも身体も動かず頭も回り始めずで、結局食う寝るサウナ入る、以外はずっと取りつかれたように読書と動画観賞ばかりして時間を費やしていました。まあ、長かった出張とその出発直前のヘルシンキ出張や締切り&校正ラッシュ、さらにさかのぼってデンマークスウェーデン旅行から、ずっとぼんやり休む暇なく頭も身体も酷使し続けてきたので、今週はもうええやろ、と甘やかしを正当化してしまいます。

おかんFacebookサイトのほうでは少し中継もしましたが、先月末から10日間ほど、クオピオで行われていたスキージャンプの葛西選手率いるチーム土屋の合宿キャンプ地に、あるTV番組の撮影スタッフたちと泊まりこんで、コーディネートやインタビュー通訳などのアシスト業をさせていただきました。今年2度目のTVクルーとのお仕事。ただジャンルや目的が違えばこんなにも役回りや気をつけるべきポイントが変わってくるのか…と、最後まで新経験つづきで慣れない現場のなかで、オロオロしてる心を必死に隠しながら「振る舞ってきた」感じでした。
基本的には終始、撮影側と行動を共にしてはいましたが、ほぼ終日ジャンプ練習やトレーニングに打ち込み絶えず真剣な選手の皆さんとも、ちょっとしたすきま時間や街のイベントに繰り出すときなどに、お話できる機会があり、主にフィンランドの日常文化の話題を通じて和やかに交流させていただいたこと、時に些細なことで頼っていただいたことは忘れがたい思い出になりました。私がいまさらここで鼻息荒く強調するまでもなく、葛西選手は強靭不屈の基礎体力と精神力をお持ちの、名実ともに「レジェンド」でした。その上お人柄も(なんとなくフィンランド人ぽくて)大らかで誠実で、何よりスキージャンプ以外の引き出しの多さに圧倒され続けたものでした。

昨年くらいから、こうして有難いことにお仕事を通じて、なんらかの分野で世界に通用するスペシャリストの日本人あるいはフィンランド人たち(それは華々しい表舞台のゲストだけでなく、取材編集チーム撮影チームのスタッフの方々も含めて)とご一緒させてもらう機会も少しずつ増えてきました。これまでの私は、そのたびに「日本で暮らしている限りでは出会うこともない人が、フィンランド⇔日本という専門性(?)を持った自分を頼ってくださる喜び」をただただ噛み締めて悦に浸るだけで一期一会を重ねてきていた気がします。けれど今回、「オリンピックで金メダル」というこれ以上になく明確で、途方もなく、いずれわかりやすく白黒のつくたったひとつの目標を掲げ、「1日24時間」と平等にあたえられた時間の中で死力を尽くす1人の人間の姿を追い続けていくなかで、自分自身はどんな専門性を誇れる人を目指していて、どんな人生に憧れて目指しているのか、どんなことが達成できれば幸せと感じられるのか…と、曲がりなりにもレジェンドと同じ重みの1個の命を預かった1人の人間として、悶々と悩み焦る日々が始まってしまいました。
というか、これまで縁があり出会ってきた大勢の方の仕事ぶりや個性や哲学に感化されながら、仲介者(メディア)として相手の言葉を引き出したり、ただただ献身し続けることで無心に商いを続けてきた自分自身については、先の質問への答えはすぱっと思い浮かべられないことに愕然とするわけです。

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ここ2日ほど、片っ端から電子書籍や動画をDLしまくって無我夢中に観賞にふけっていたのは、ぱっと思いつく限りの「いいなと思っている有名人」の随筆や作品や人間ドキュメンタリーばかりでした。とにかくもっともっといろんな一流人の考え方や日々の行いを知って、その言葉やふるまいのなかから共感できる部分を抽出しながら、今のところ無色透明に近い自分自身の人生や仕事の指針についてじっくり考えてみたい、という衝動でした。成果としては、唯一以前から自分自身も大切にしている「ただ眼の前の案件(物事)をひとつひとつ誠実にこなす(結果や道筋はその先に出来てくる)」という感覚を、意外とさまざまな分野の眩しいプロフェッショナルたちが大事にしているんだな、ということがわかってちょっと安心しました。私自身も、これまでは一つひとつ、縁あって舞い込んでくる新しいお仕事に、(最初ちょっと無理かなとビビっても)ポジティブに挑み、そのときのもちうる実力や対応力で誠実にこなす、ということの繰り返しで、少しずつ、多様で充実度の高いお仕事に恵まれるようになってきた実感は強くあります。でもそういう過去の実績だけでは心もとないというか、「縁」というふわっとした存在を強く信じ続けるだけも難しいというか……自分自身がもっと何かしらのスキルを磨いて、信念を強く持って、セールスポイントを作りこまないと、いつか自活できない日が来てしまうのではないかという恐怖感もずっとあります。そのためにも、今よりワンランク上の「自分らしさの自覚」すなわち自信がほしいなあ、と、ここ数日はそんな止めどないことばかり考えて時間を消費(浪費?)しています。

フィンランドのあらゆる分野の知識をしっかりつけ、そして語学力や文章力を磨くというのは、この仕事を続けていく上でもちろん大前提なのですが、これまでの経験上、このお仕事をしていく(相手に満足していただく)上ではなにかそれ以上のスキルが求められていることも肌で感じ続けています。ずばっと核心を教えてくれる上司もいないし、今のところそれが何かは明確ではなく、うまく言葉にはできませんが、キーワードをあげるとするならば、それはきっと「コミュニケーション」。異世界に生きる人同士の時間の限られた交流を、どのようにお互いにとって円滑に気持ちよく、ハプニングもひっくるめて着地点へとアテンド・アレンジしていけるか、というチャレンジに必要な技術。それは現場経験の中で体験的に身につく類のものかもしれないし、ひょっとしたらそもそもの性格的なものなのかもしれませんが、まだしばらくは、次にくるお仕事に誠実に向き合い試行錯誤するなかで、それがどんなスキルなのか、どうやって磨いていけばよいのか、今まで以上に自分自身の動きを俯瞰しながら向き合っていきたいなと思います。

と、たまの日記がまたこんな自己完結的な長文ですみませんでした。。
明日からはそろそろまた手足と頭をしっかり動かしてまいります!

ayana@kuopio.fi


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今回の取材の成果が形になるのはまだしばらく先なので、気長にお待ちください〜!
posted by こばやし あやな at 05:03| Comment(0) | Suomiで考えごと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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